可夢偉の大活躍も、気になるビアンキ ホットライン rd.15 日本GP
レース好きのエディター羽端さんと、STINGER編集長が語る、日本GPの見所。
◆雨の鈴鹿、”逆境”をものともせずに可夢偉激走!
羽端恭一(以下、羽端):秋のニッポン! 運よく台風が来て、雨になって──(笑)
STINGER編集長山口正己(以下、STG):運よくって(笑)。
羽端:何か”大事件”が起こるかと、ひそかに期待してましたが、起こりませんでしたね。
STG:それはビアンキのアクシデントじゃなくて、可夢偉のこと?
羽端:いや、ビアンキは、心配ですけど、そっちではなくて。可夢偉に、一気にポティウムとまでは無理でも、7番くらいに食い込まないかな、と。
STG:う〜ん、雨だからといって、そりゃ、無理だ(笑)。
羽端:ええ、わかってます。その理由もね。要するに、雨だから遅くなるような運転手は、このクラス(F1)にはそもそもいない、と。だから、晴れの時と同じ順位が、そのまま、スライドする。
STG:まぁ。
羽端:でもね、セットアップもしないで──というか、できなくて。パーツも、あり合わせのもので。それで、雨の鈴鹿でいきなりレースして、旗が振られるまでコースに居続けた。これは驚きというより感動でしたね。最大級の讃辞を贈りたい、鈴鹿の可夢偉には!
STG:なるほど、そういう観方はできますね。そもそも、可夢偉は、なにが起きても腐らない。平滑に言うとプラス思考ってことなんでしょうけれど、実はこれ、レーシング・ドライバーを含むアスリート、いや、成功を納めるどの業種の人にもとても大切な素養だと思います。可夢偉は、特にそれが凄いと、常々思っているもんで(笑)。
羽端:それにしてもなあ、もう少しマトモなというか、ちゃんとしたチームで走らせたいよなあ!
STG:ホント! だから、ホンダの新井さんには、可夢偉に乗ってほしいんですけど、と伝えました。
羽端:ですよね!
STG:なにしろ、彼は日本語ができるから、ホンダのエンジニアとも、より深く緻密な話ができて、開発にも間違いなく役に立つ。これまでのドライバーでは、少し力不足だったかもしれないけれど、可夢偉の才能は、日本人、というくくりを外しても素晴らしいと思うので。しかし、いまのチームでは・・・・。
羽端:パーツは(一人分しか)揃えられない。装着タイヤは間違える(笑)。
STG:なんともですね(笑)。チームメイトのエリクソンが、セーフティカー・スタートの周回中にスピンしたじゃないですか。そして赤旗になった。エリクソンがリタイアするなら、そのウィングを可夢偉につけてほしい、という意見もありましたね。
羽端:おう、そうですよ!
STG:そりゃ、エリクソンに失礼だし、第一エリクソンはそこでリタイアしなかったから、まぁ、”実現”はしませんでしたけど。
羽端:そして、次戦のグランプリでクルマに乗れるかどうか、このレース終了時点で、ドライバーが知らない(笑)。
STG:チケットをもらえれば、みたいなことを可夢偉は言ってましたね。
羽端:エアチケットどうしようかな?……なんて、笑える冗談じゃないですよ。F1チームのドライバーが!
STG:ホントに。
羽端:あ〜あ、ザウバーって、いいチームだったなあ!(笑)
STG:あはは(笑)。少なくとも、こんなおかしなことはなかった。
羽端:どこか、ないんですかね。少なくともレースに集中できる、そんなチームは?
STG:あるでしょ、たくさん。フェラーリでもマクラーレンでもレッドブルでも(笑)。ただ、それぞれに”事情”があって、簡単にはいかないみたいですね。
◆勝手にストーブリーグ! でも、ちょっと気が早すぎ?
羽端:ベッテルが動いて(レッドブルを離脱して)、でもレッドブルはすぐに、代わるドライバーを発表して。ウイリアムズも、今年の二人でキマリでしょ。
STG:ですね。
羽端:フェラーリがキナ臭くって(笑)。どうも二人のドライバーは、どっちもフェラーリに残留したくないと思ってる気がする。とくにキミ(・ライコネン)は、雪やダートの世界に戻りたいんじゃないか、と。……あ、根拠はないですけどね(笑)。
STG:フェッテルは、たぶんフェラーリ。もはやF1のパドックの中では決定項みたいです。
羽端:え!? ……あ、そういうストーリーだったのか! じゃ、アロンソは?
STG:アロンソがマクラーレン、というのが筋書きとしては、色濃いですね。
羽端:おひょー!(笑) まあライコネンは”リーブ・ミー・アローン”の人だから、チームメイトなんか誰でもいいのか。でも、セブ(フェッテル)だったら、ラリー走ってる方がいいってことに、やっぱりなりそうだな。ようやく、少し”根拠”が出て来たけど(笑)。
STG:ラリー走っている方が、というのは我々の序列のつけ方で、WRCのワールドチャンピオンを多数排出しているフィンランド人にとっては、F1GPより世界選手権ラリーの方が格が上らしいですから。
羽端:マクラーレンがナゾですよねえ! 表向きは、いまのところ動きはないようですが。あ、メルセデスはどうなのかな?
STG:マクラーレンは、アロンソと可夢偉です。あ、こっちも勝手に根拠なく言ってみた(笑)。
羽端:ちょっと気が早すぎますか(笑)。ともかく、このへんの”強者”が決まらないと、ストーブリーグも動きようがないし。
STG:ですね。しかし、いまの、このアンビバレンツな決まらないモゾモゾした状況の時って、こっちにとっては、いろいろ想像できて一番楽しいですから(笑)。
◆ハミルトンが見せた、決勝での強さ
羽端:気が早いといえば、ルイス(・ハミルトン)がニコ(・ロズベルク)を、コース上で抜き去って首位を奪ったというのはカッコよかった! ……ので、やっぱり今年のチャンピオンは、ルイスでキマリ!(笑)
STG:今回、予選でハミルトンがヘアピンでタイヤをロックさせてタイムロス。それで決着がついたようにみえました。しかし、ハミルトンは、それを”ミスではない”と言っていたので強がりかと思っていたけれど、決勝では、本当に強かった。
羽端:ニコは、「君はもう少し修業しなさい」ということで。
STG:そこまで言うか(笑)。
羽端:チャンピオンになるには、もう少しってことで。それで、これから先のロシアとアメリカって、どっちも、場所(コース)も含めて、どういうレースになるのかわかんないグランプリでしょ? そうなると、キャリアのあるルイスが、やはりニコより優位だと思うし。
STG:やはりチャンピオン経験者は強い、ということもあるし。
羽端:気が早いついでに、相撲じゃないけど今年の「三賞」は、殊勲賞がリカルド、敢闘賞がボッタス。技能賞は、ヒイキ目も入れて(笑)やっぱり可夢偉!
STG:いいですね、その採点。次回から、二人で採点票をつけましょうか(笑)。
羽端:それより、ビアンキですけど。
STG:心配ですね。かなり酷いぶつかり方をしたみたいなので。しかし、現場にいた[STINGER]のスタッフが撮った写真では、クルマはひどく壊れているけれど、ビアンキ自体には外傷が見えない。手術も成功して、自律呼吸をしているということなので、一日も早く快復してほしいと思います。
【西湘-西八王子】
Photo by
Caterham F1 Team / LAT Photographic (可夢偉)
INFINITI Red Bull RACING / Getty Images (フェッテル)
Ferrari S.p.A / FOTO STUDIO COLOMBO (ライコネン)
MERCEDES AMG PETRONAS Formula One Team (ハミルトンvsロズベルグ)
Marussia F1 Team (ビアンキ)