マクラーレン・ホンダが走る?!
1988年のターボ全盛時代に、最強伝説を創ったアイルトン・セナとアラン・プロストのマクラーレン・ホンダ。
14日金曜日に、ホンダのパワーユニットを搭載したマクラーレンが、イギリスGPの舞台であるシルバーストン・サーキットを走るという情報が流れた。ESPNなどのF1サイトが報じたもの。
シルバーストンを走るマシンは、今年型のマクラーレンMP4-29で、最後に、ホンダの頭文字である”H”が付けられ、マクラーレンMP4-29Hとされているが、走行を担当するドライバーが誰になるのかは、定かではない。
また、この走行は、テストではなく、公式には”フィルミングデー”と呼ばれるプロモーション撮影の特別枠の走行になり、走行距離はもちろん、使用タイヤも、実戦で使われるものではなく、ムービーや写真の撮影用に限定される。
このため、性能テストを行なうことは不可能だが、エンジンからパワーユニットと名前を変えた動力システムを実際に車体に搭載したときに起こるさまざま状況を確認する意味では有効な走行になるはずだ。
特に、パワーユニットも車体も、電気的な制御をおこなっていることから、それぞれが発するパルスの互換性など、実走行でなければ確認できない重要なデータ取りをおこなうことは可能だ。
この情報について、ホンダF1チームの新井康久代表が日本GPの際に鈴鹿サーキットで行なった会見で、”動態チェックをするための車両を造っている”とコメントしていたことが思い起こされる。
しかし、造っていたのはホンダではなくマクラーレンだったことになるが、新井康久代表は、テスト用のクルマは、「F1」とかいうのではなく、タイヤが4本付いていて動く状態であるという格好でしょうか?”という質問に対して、「詳しくは言えないのですが、みなさんが考えているような”来年のシャーシ”とかいうものではありません。それなりのフォーミュラカーのカタチにして、エンジンとか、バッテリーとか、そういうフルシステムがテストできるように計画しているものです。でも、まだ完全にできているわけではありません」と答えていたが、今年用のマクラーレンだとすると、確かに”来年のシャーシ”ではないが、紛いもなく「F1」マシンだった。
問題は、この走行を、今年のパワーユニット供給メーカーであるメルセデスがどう受け取るか。メルセデスF1チーム代表のトト・ウォルフは、”まだF1に参戦していないということも含めて、理由はどうあれ、我々のパワーユニット以外を積んで走ることが許されるはずがない”と当然の姿勢を示しているという。
[STINGER]山口正己
photo by HONDA/[STINGER]