マクラーレン・ホンダのマレーシアGPはどういうレースだったのか
◆完走はできなかったが、明確な進歩
マクラーレン・ホンダは、結局2台ともレースを完走できなかった。予選でも、苦しい状況が見えていた。
金曜日から土曜日に3回行なわれるフリー走行を、これまでのテストや開幕戦とは見違えるように、ノントラブルで消化していたが、パワーを上げて挑みたい一発タイムの予選では厳しい現実を突きつけられて、2台はほぼ最後尾。
開幕戦を欠場して、今回がマクラーレン・ホンダとの初舞台となるフェルナンド・アロンソと、開幕戦で完走してデータ蓄積に貢献したジェンソン・バトンは、レースを、17番手と18番手グリッドからスタートすることになった。
それでも、予選終了後には、二人とも落ち込む様子もなく、F1GPの厳しさを熟知した立場から、「時間がかかるものだ」と達観のコメント。続けて、「いまは完走してデータを集めることが大切」と語っていたが、結果的にその願いも虚しく、いずれもパワーユニットのトラブル(熱害が原因と想像できる)で戦列を去ることになった。
しかし、トラブルに追いまくられ、レースのスタート前に、アロンソの代役でグリッドに向かっていたケビン・マグヌッセンのマシンが、エンジンを壊して白煙を吹き上げるというF1では実に久しぶりの場面を見せるなど、散々な状況だった開幕戦に比べれば、第2戦は、格段に進歩が見られる内容だった。
開幕戦のオーストラリアGPのメルボルンとは比較にならない高温多湿の灼熱のマレーシアで、土曜日までトラブルフリーだったことはむしろ、現段階としては褒められていいことだった。
また、レース中のペースを観ると、トップのフェッテル+フェラーリ とハミルトン+メルセデスが1分46秒台で走行し、2番手以降が1分48秒〜1分50秒台でレースを進めていたところで、2台のマクラーレン・ホンダが1分49秒台の安定したペースを見せていたことも、進化を伺わせた。
F1は日進月歩の世界と言われるが、状況からして、まずは、トラブルフリーで週末をこなして2台が完走できるところに到達することがとりあえずの目標、ということになりそうだ。
[STINGER]山口正己
Photos by McLaren Honda/LAT Photographic