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バンドールンのスーパー・フォーミュラ参戦の効果?!

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◆新天地?!
GP2チャンピオンのストッフェル・バンドールンが、2016年に向けて日本のスーパーフォーミュラのテストに参加するかもしれないという興味深いニュースが届いた。

決断力と冷静さというレーサーに必須の、しかし相反するポテンシャルを併せ持った稀有な存在として知られるバンドールンは、今シーズン、圧倒的なポテンシャルでGP2シリーズのチャンピオンに輝いた。タイプで言えばアラン・プロストを彷彿とさせるいわゆる天才である。

GP2で所属するARTグランプリは、マクラーレンへのつながりもあり、マクラーレンF1チームのテストドライバーであるバンドールンは、将来のF1への道も確立しているかに見えたが、マクラーレン・ホンダは2016年のドライバーを、引き続きフェルナンド・アロンソとジェンソン・バトンでいくことを決め、バンドールンの2016年のシートは結果としてなくなった。

そこで、ホンダ絡みで、来年を日本のスーパーフォーミュラで闘うことに興味を持っているようだ。

バンドールンがどんな走りを見せるか楽しみなところだが、まずは日本のレースの特殊性を、バンドールンがどうこなすかが見物だ。日本とヨーロッパの大きな違いのひとつは、『走り込み量』といえるからだ。

◆GP2とスーパーフォーミュラの根本的な違い
GP2は、F1GPへの登竜門という性格上、F1GPと同じ形態になる。ヨーロッパラウンドのF1GPのサポートレースとして行なわれ、F1GPと同じコースを使うことから当然といえば当然だが、これは、将来のF1GPに備えてコースを覚えておくこと以外に、もうひとつ、国内レースとは大きくことなる立ち位置がある。”1戦毎にセッティングを決める”という世界各国を巡るF1GP独特のシチュエーションだ。

国内レースの場合、スーパーフォーミュラで使われるコースは、北から順に、菅生、茂木、富士、鈴鹿、岡山、オートポリスの6所しかない。スーパーGTも同様だから、ドライバーはコースを熟知している。あらゆる天候のデータもそろっていて、セッティングもある程度の”ストック”がある。

GP2も、ある程度のデータはあるにしても、”同じコースを走る”というパターンからは完全に外れている。金曜日と土曜日のフリー走行の時間も驚くほど短く、ごく短時間でコースに慣れ、セットを出す必要がある。日本人がヨーロッパで苦労するのは実はまさにここなのだが、バンドールンはこの、短時間に適正なセットや走りを見つけ出す適応能力が極めて高い。

それはとりもなおさず、F1にステップアップしたときの適応力も保証することになるのだが、日本のレースの場合、適応力よりも、じっくりと走り込んだ集積が成績を左右する。これが極めて高度なため、今年からスーパーフォーミュラに参戦しているあの小林可夢偉がまだ勝てないのは、それが理由のひとつと考えられる。

この観点から、バトンドールの参戦が決まったとして、ベルギー生まれの天才が日本のレースのパターンをどう消化するか見物だが、反対に、日本人がF1を含めてヨーロッパタイプのレースへの対応力について、世界レベルのドライバーの誕生を願うなら、レース界全体が考なければならないかもしれない。

そのモノサシとして、バンドールンのスーパーフォーミュラ参戦の実現を心から祈りたい。

[STINGER]山口正己
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