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新しいことはいいこと?!でもない–新予選は面白くなるか

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2016年シーズンで初めて、全員が同じ目的でタイムアタックする予選。今年は、新方式が採用され、どうなるのか、期待と不安が入り交じった気分で17時からという変則的なスケジュールの予選を見守った。

その昔、”新しいことはいいことだ”というフレーズが流行ったことがある。そのフレーズを知らない世代でも、気分は同じだろう。新しいものはたいていいいと判断される。しかし、今回、開幕戦のオーストラリアGPで採用された”新しい予選”は、どうもそうではなさそうだ。

そうでもなさそう、と奥歯にモノが挟まった表現になっているのは、日本のファンにとって、マクラーレン・ホンダの存在があったからだ。少なくともQ1はドキドキできた。

Q1の最初の7分で、ウェーレイン+マノーがはじき出され、その後1分30秒毎に、ノックアウトされる最初の”犠牲者”にハリアント+マノーが指名された9分経過時点で、下から2番目にいたバトン+マクラーレン・ホンダが勇躍3番手タイムを記録した。アロンソ+マクラーレン・ホンダも2位に来た!! もしかすると、案外やるんじゃないのかマクラーレン・ホンダ、と思って心拍数があがった。

Q1のオーダーは以下通りだった。
1. ハミルトン+メルセデス
2. マッサ+ウィリアムズ
3. アロンソ+マクラーレン・ホンダ
4. フルケンベルグ+フォースインディア
5. ライコネン+フェラーリ
6. ペレス+フォースインディア 
7. バトン+マクラーレン・ホンダ
8. フェルスタッペン+トロロッソ
9. ロズベルグ+メルセデス
10. フェッテル+フェラーリ

◆マクラーレン・ホンダはQ1に全力投球した
しかし、喜んだのも束の間、というか、冷静にタイムをみれば、1分26秒台は、Q3には到底届かないものだった。マクラーレン・ホンダは、Q1に全力投球した、ということだったのだ。もちろん、現段階でそれは間違ったやり方とは言えない。予選方式が同じだったとしても、マクラーレン・ホンダは同じ作戦だっただろう。

しかし、Q2に入ってしばらくして、常々言っている”糠喜びは後で悲しい”という事態に陥っている自分に気がついた。読者の多くもそうだったのではないだろうか。しかし、これはたぶんに、日本人とマクラーレン・ファンに限ったことで、仮にマクラーレン・ホンダがもっと下のポジションだったら、”初めての方式が目まぐるしい”ということ以外の印象は残らなかったかもしれない。

Q2で、アロンソとバトンがノックアウトされた段階で、かなり愕然としたものの、まだ緊迫感があった。中団が混沌とし、トロロッソの若い二人が素晴しい走りを展開していたし、メルセデスとフェラーリが最後に全力で走るとどうなるかわからなかったからだ。

しかし、何も起きなかった。それどころか、最後に2台のアタックを期待していたのに、Q3の終了を告げるチェッカードフラッグが降られた時に、コース上に誰もいなかった。メルセデスの2台がサッサとタイムを出し、フェッテル+フェラーリは、0.5秒以上あったその差を逆転できないと判断して、タイヤを温存するためにコクピットを降りてしまった。キミ・ライコネンはもっと早く頭を決勝に切り換えていた。

◆解決策はあるのか
メルセデスの2台に続いて予選3番手となったセバスチャン・フェッテルはトップ3会見で、いみじくも、”タイヤラバーが載ったベストのコンディションでのアタックをみんな観たがっているのに”と言った。

この新予選を”そう悪くない”と思ったのは、ポールポジションを奪ったルイス・ハミルトンと、予選5位に食い込んだマックス・フェルスタッペンだけかもしれない。

ルイス・ハミルトンは、「新しい何かにトライすることは良いことだよ。特にそれが素晴らしい一歩だったらね。僕たちは実際に新しいことにトライしたんだ。でも、これはトライアンドエラーだから、昔のやり方には直ぐに戻らないかもしれない」と言っている。きっと正しい意見だろう。

また、フェルスタッペンは、「新しい予選方式は1発で決めないとダメだからトリッキーだけど、僕は好きだよ」と言っている以外、誰も新しいことはいいことだと言っていない。

タイヤを温存することなく制限なく使えるようになればいいという意見もあるが、これだけ情報が発達し、外野から丸見えの状況の中で、”エコ”という大義名分を無視することはできない相談だ。

ただし、少なくとも、Q3のチェッカードフラッグが出るときに、最後のアタックが繰り広げられ、誰がポールポジョンかわからない、ということになってほしい。それが、メルセデスvsフェラーリなら言うことはないが、どうやらそうはなりそうもない。

結論として言えるのは、新方式の予選のやり方ばかりが悪いのではなく、本来、『不確定要素』が面白いモーターレーシングで、先が見えてしまっていることこそ、問題のようだ。

とはいえ、日曜日のレースでは、なにかが起きる可能性は、当然ながら残っている。

[STINGER]山口正己
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1位マックス・フェルスタッペン491ポイント"
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