悪いのは誰だ!こうなったは誰のせい? — カナダGP木曜記者会見

2年前にクラッシュしたマッサとペレス、チームの采配ミスでモナコの優勝を逃したレッドブルとリカルドのその後は?
木曜日恒例のドライバー記者会見。今回は次の6名が参加。
ジェンソン・バトン(マクラーレン)
マーカス・エリクソン(ザウバー)
フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)
セルジオ・ペレス(F.インディア)
キミ・ライコネン(フェラーリ)
ダニエル・リカルド(レッドブル)
バトンとライコネンはチームの現状、2014年にポディウム争い中、最後の周にお互いにクラッシュしたマッサとペレスはその後のお互いの関係、そして前戦モナコでチームの采配ミスによって優勝を逃したリカルドは、その後のチームとどのようなやり取りがあり、どうやって乗り越えたかについてそれぞれ語った。
Q.ダニエル、2014年のカナダGPを制したあなたからお願いします。前回のモナコのレースのあと、チームからの(采配ミスで優勝を逃したことを認める)コメントを聞きたくなかったと思いますが、その失望をどう乗り越えましたか?

ダニエル・リカルド(以下、リカルド):そうだね、立ち直るには数日かかったよ。レースのあと、いるべき位置にいられなかったと強く感じたし、たぶん誰も起こったことを解決できなかったと思う。僕としては数日は距離を置いて、みんなで冷却期間を経てから起こったことについて話し合おうと思ってた。だからチームのいろんな人たちと話したし、彼らはあの時何が起きたのか、その状況を説明してくれたよ。説明を聞くことは間違いなく重要なことだけど、もっと重要なことはそこからどうやって前に進むか、どうやってやって再発防止をするかってことだと思うよ。そこから彼らはファクトリーにもどってこういうことがまた起こらないように、ピットストップの前にタイヤを準備して、すぐにいろんなコンパウンドを用意できるようにいろんなことに取り組んでくれたよ。だから僕としてはもう前に進んでる。彼らがしてくれたことはいいことだしね。チームの全員にとってすごくガッカリな結果だったから、彼らが深刻に受け止めてくれることはわかってたし、また同じポジションを走っているときに二度と同じことは起こしたくないからね。(チームとの話し合いは)間違いなく僕に必要なことだったし、それを聞きたかった。
Q.ルノー・エンジンのパワーアップはここでかなり効果がありそうですし、それだけではなくレッドブルのシャシーの特性とこのモントリオールのサーキットのレイアウトからすると、現実的に考えて今週末は優勝して持ち直すことは可能だと思いますか?
リカルド:心の中ではそう思ってるよ。そうできれば持ち直すには最高の方法だね。とにかく見てみよう。現実的に考えてまだ予想通りメルセデスがそうなりそうだね。彼らの次には着ける可能性はあると思う。ただ、フェラーリもそこに入ってきてるし、いつも驚かされてきたから難しいね。どうなるかわからないけど、メルセデスのうしろには着けると思ってるし、メルセデスからどれだけ引き離されてるかわからないけど、また十分に近づいて彼らにプレッシャーをかけられれば勝利をつかめるハズだよ。
Q.キミ、あなたの番です。序盤の6戦で3度のポディウムは2013年からシーズンの一番いいスタートになっていますが、あなたとチームにとってはメルセデスとの距離を詰めたというよりレッドブルに先を行かれたと感じていますか?

キミ・ライコネン(以下、ライコネン):そんなふうには思わないよ。僕らは自分たちがしてきたことはわかってるし、マシンもほかの部分も去年よりも間違いなく改善してるから。きっと結果はそれを正確に反映してないと思うけど、チームにとってラクなスタートにはなってないからね。ただ、自分たちのことに打ち込んでハードワークをこなし続けていけば上手く行くことはわかってる。さっきも言ったように、現状は狙ったとおりになってないけど、パッケージは改善してるし、ずっとそこに取り組んでる。自分たちの弱点もどこを改善しないといけないかも把握してる。もちろんいつもより良い結果を望んじゃうものだし、2台そろってそうしたいけど、今年のシーズン序盤はここまでちょっとトリッキーな状態だった。だけどほぼ狙ったところに着けてるから、同じように続けていくだけだよ。
Q.モントリオールでマシンに大幅なアップデートを加えることはフェラーリの伝統ですが、今週末はお待ちかねのターボがアップデートされます。これでパワーユニットを完全に活かすことができると思いますか?
ライコネン:僕らは常にそれを最大限に活かしてるよ。今回ので新しいステップを踏める。それがどれほどなのかは時間が教えてくれるよ。もし改善できないと思うんだったら新しいパーツをマシンに取り付けるなんてしない。今回のステップはどんなものか? いきなり奇跡が起こるなんて期待してないけど、方向性は正しいし、僕らが長いこと待ってたものだからね。僕らが持ち込んでる新しいパーツと同じように状況をガラリと変えるものではないから、僕らチーム、フェラーリにとってはごく普通の改善で、正しい方向に向かってる。
Q.ありがとうございます。ではジェンソン。2011年のウェットでの壮絶なレースの勝者であり、それ以外にもモントリオールのこのトラックで参戦した15戦中2回ポディウムに上がっています。あなたにとってこの場所が特別である理由と、ここをドライブするベストな方法は何でしょうか?

ジェンソン・バトン(以下、バトン):
b>ワォ、何がここを特別にしてるかって? いつだってこれまでの思い出がその場所を特別にしてると思うけど、違うかな? どのサーキットも最初はナイスだけど、思い出や経験がそこを特別な場所にしてるんだと思う。2011年はより特別だね。僕は忍耐強いから、最後まで諦めずに戦う。そういう特別な経験がイベント(レース)を形作るんだ。
Q.それで、ここをドライブするベストな方法は何でしょうか?
バトン:いいマシンが必要だね。ブレーキがしっかりしてるマシンがね。どのサーキットも同じだと思うけど、そこは特に重要だね。ここではスピードを落とさずしっかり縁石を使える必要があるし、天気のこともあるから正しい指示出す必要があるよ。
Q.ダニエル、スペインとモナコの問題に関して、その2つのレースでチームとの関係にどれぐらいヒビが入りましたか? 2つのインシデントに関してチームを完全に許すことはできますか?
リカルド:もちろんだよ。さっきも話したように、モナコのあとに何日か距離を置けたことに満足してる。僕自身もすぐに話し合いをはじめるのは得策だとは思えなかったし。確かに僕は数日アタマにきてたと思うし、チャンスを逃したことに後悔してた。ただ、仕方がないことだからね。そういうこともあるよ。2戦連続で起きたのは運が悪かったけど。なんて言ったらいいかな、だから余計に感情が高ぶってね。だけど、うん、僕は気持ちを切り替えたよ。今もチームをすごく信頼してるし、彼らも前進してる。それを疑ってはいないよ。今週末は、僕もチームも完璧な週末を過ごすことが重要だね。僕らのマシンがいいことは証明済みだし、いい材料もそろってる。とにかくそれを最大限に活かさないと。この4週間、僕は日曜日にもっと上手く行ってたハズだって思いながらトラックから離れてた。だから今週の日曜日は、お互いにすべてを最大限に高められたと感じながらここを離れたいね。
Q.ジェンソン、チーム内の状況について教えてください。私たちはラップタイム、予選やレースの結果にかかわらず、どれだけ改善されたか確かめられるデータをたくさん手にしていますが、チーム内で何がそんなに変わったのでしょうか?
バトン:そうだね、外からいつも聞かれてるよ。今はどの程度? いつから速くなる? ってね。それで、僕は毎回メディアに対して、じゃ今からってことでどう? って話してる。今からってことでどう? 今からってことでどう? 今からってことでどう? ってね。外からのプレッシャーは信じられないぐらいだよ。だけどチーム内では僕らの位置、どこを改善してるところなのかはわかってるし、チーム内の雰囲気はすごくいいと感じてる。フェルナンド(・アロンソ)も僕も経験豊富だし、僕らの経験で、方向性に関してたくさんのことをチームにフィードバックできてると思うし、いろんなことが進行中だよ。いつもすごく難しいよ。シーズン中だからみんながやってるように結果を出したし、それは誰にとっても同じことだろうしね。来年はレギュレーションが変更になる。状況が大きく変わる。その一つのシーズンにどれだけ努力を傾けるかだね。だけど今の改善具合に満足してるし、いい感触を得られてる。多くの時間でマシンを最大限に活かせてると感じられてるしそれが今一番大事なことだからね。確かに僕らはのぺースは(先頭集団から)かなり開きがあるけど、いずれそれは時間の問題だから付いてくる。まぁ、それにはいつも思ってる以上に時間はかかるよね。
Q.ダニエル、何度も切り返しで申し訳ないのですが、(チームとは)どのように和解したのでしょうか? あなたから電話したのでしょうか? それともチームからですか? とりあえずファクトリーに向かったのでしょうか? キッカケはなんでしたか?

リカルド:すべて電話で済ませたよ。僕から何度か電話をかけて、それでクリスチャン(・ホーナー/チーム代表)、エンジニアと話してね。クリスチャンはとにかく説明してくれた。みんなを代表して謝ってくれたし、どうしてああなったか、なんであそこで混乱が生じたのか、なんでタイヤが準備できてなかったのかとか、いろいろ説明してくれたよ。だからクリスチャンと電話で話しただけだし、そのあとに僕のエンジニアのサイモンと話した。みんながファクトリーでそのために数日取り組んで、そこで何をしてたかを話してもらったから、(話し合いができたのは)週の後半だったね。それで、みんな2回目のピットストップが致命傷だったって言うんだけど、僕としては最初のピットストップも同じように問題だと思たっから訊いてみたよ。僕が出るときはすでにルイス(・ハミルトン)のうしろだったから、あのときはルイスとレースしてたんだし、あそこで(ピットに)入る必要はなかったでしょってね。だから僕としては最初のピットも2回目と同じぐらいちゃんと議論したかったんだけど、そしたらサイモンは彼らがそこを十分調べてなかったと説明してくれて、最初のピットも同じように致命的だったことを認めてくれた。最初のもミスだった。それでチームはちゃんと準備できるように、またもし終盤で指示を出す場合はちゃんとできるようにいくつかソフトウェアを更新してる。もちろんいろいろ知りたくていろいろ訊いたけど、彼らは現状に自信を持ってるし、それが僕が訊きたかったすべてだった。

Q.セルジオ、数年前にポディウムを賭けて闘っていることがありましたね。そのときフェリペと大きなクラッシュを喫しましたが、(会見会場の)うしろの席に座るお二人は現在仲良さげに笑いながら話していることに気がつきました。今はあのインシデントはどうだったと考えていますか? 両方に原因があったと思いますか?
セルジオ・ペレス(以下、ペレス):今も彼のせいだったと思うよ(笑)。 でも僕はペナルティをもらったけど。あの後のことは話すと長くなるよ。
フェリペ・マッサ(以下、マッサ):かなり長くなるね(笑)。

ペレス:ただ、そうだね、あの日は実際もう少しで勝てそうだった。(ニコ・)ロズベルグが終盤でトラブルを抱えてたのを覚えてるし、彼との距離をかなり詰めてたけど、僕の方もトラブルがあって、あれはブレーキだった。ブレーキがかなりオーバーヒートしちゃってて、BBY(ブレーキ・バイ・ワイヤ)に問題を抱えてたからブレーキのバランスがだいぶ崩れてて、そのブレーキでタイムもかなり落ちてた。それでダニエルにポジションを奪われて、そのまま彼が勝ったんだ。でも僕にとってその日は全体的にものすごくいいレースだったし、僕らは予想してなかった位置に着けてることもわかったよ。あいにく最後のラップでクラッシュして最悪の結果につながっちゃったけど、すごくいいレースだったし、もう少しで勝てるところまで行けたからね。
Q.フェリペ、あなたはどう思いますか?
マッサ:僕がどう思ってるか? 僕らはクラッシュした。お互いにとってすごくよくないことだし、もう同じことは繰り返したくないよ。ただ、僕はペナルティをもらってないからね(笑)。
【翻訳:STINGER】
Photos by
Ferrari S.p.A / FERRARI MEDIA
Red Bull Racing / Getty Images/Red Bull Content Pool
Force India F1 Team




