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マクラーレン・ホンダの後半戦–その3・課題は回生ではなくエンジン本体

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前回の”その2“でお伝えしたトークンの使い方の他に、すっかり誤解していたのは、パワーユニットでホンダが苦労しているパート。メルセデス以下に差をつけられているのはハイブリッドの回生を含む部分ではなかった。

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パワーユニットは、右の写真のような第二期時代のV12のような昔ながらのエンジン本体と、2014年からのエネルギーを回生するパートに大別できる。すでにエンジン本体は、ある意味”やりきって”いて、ホンダが苦労しているのは、エネルギーリカバリー・システムの方と思っていたが、違ったのだ。

昨年、”デプロイ”という言葉が盛んに登場するようになった。デプロイとは、簡単に言えば、回生でエネルギーを溜め込むこととそれを使う循環、といえばいいだろうか。挑戦初年度、ホンダF1レーシングの新井康久代表は、盛んに”デプロイがうまくできない”というようなことを口にしていた。

しかし、今シーズンはそこはクリアーできていたのだ。「問題は、エンジン本体」というのが長谷川F1プロジェクト総責任のコメントだった。

確かに去年、苦労していたのはリカバリーシステムの方だった。だが今年は、そこは卒業していた。「MGU-HとKは、新たな規則の中で大きい領域ですが、1周4メガジュールしかデプロイできない、あるいは、最大出力が120キロワットという制限は、ほぼ使い切ることができています」と長谷川F1プロジェクト総責任。

リカバリーシステムは、かなり規制がかかっているため、メルセデスはもちろん、フェラーリもルノーも、そしてホンダもすでに上限まで届いていて、「あとはエンジン本体の差」なのだった。

表現を変えると、最強パワーユニットのメルセデスが優れているのは、リカバリーシステムではなく、エンジン本体だったのだ。メルセデスは、燃焼効率が非常に高いレベルにあるというが、「時間当たり100kgという燃料流量制限の中でどれだけ馬力を出すかという競争がそのまま差になっていますね」というのが長谷川F1プロジェクト総責任のメルセデス評だ。

パワーが出ているということは、裏を返せば燃費がいいということでもある。メルセデスの強みは、そこにあったというのは、新発見だった。

また、前半戦を折り返した時点でのパワーユニットの性能順は、メルセデスが1番として、次に続くのは、「フェラーリ、ルノー、ホンダの順です」というのが長谷川F1プロジェクト総責任の認識だ。メルセデスはもちろん、ルノーも日進月歩で進化して、まだまだホンダは追いついていないという。

しかし、それをはっきり口にするのは、追いつく見込みがあるからと思うのは都合が良すぎるか。長谷川F1プロジェクト総責任は、「そもそも、エンジンの開発はパワーを増やす作業ですから」と続けた。

一方で長谷川F1プロジェクト総責任は、現在用意しているという次の”タマ”を、確認さえ済めばスパ-フランコルシャンのベルギーGPに投入したいと明かしてくれた。

とはいえ、その”タマ”が効果的だったとしても、まだまだ直ぐに上位争いは無い物ねだり。トップ3に追いつくにはしばらく時間がかかる。それは、「来年でしょう」と長谷川F1プロジェクト総責任は控えめに言った。そこに向けての準備段階として、ホンダのチャレンジは続けられている。

[STINGER]山口正己

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