マクラーレン・ホンダ進化!!–スパ-フランコルシャンでみえたホンダの実力
高速テクニカルで高地と、パワーユニットにとって厳しい条件のスパ-フランコルシャンで行なわれた2016F1GP後半戦の開幕を告げるベルギーGPで、ホンダのパワーユニットが炸裂した。
◆スパ-フランコルシャンでのパワーユニットの実力
パワーユニット交換のペナルティで、最強メルセデスのルイス・ハミルトンとともに最後尾からスタートしたフェルナンド・アロンソは、その最後尾スタートが分かっていた金曜日の段階で、同じくエンジン交換ペナルティで最後列からスタートすることになるハズのハミルトンを引き合いにし、「ルイスは僕より速いだろうから、彼のマシンにロープをくくりつけて引っ張って行ってもらいたい」とジョークを飛ばしていたが、ベルギーGPでは、特に序盤のマクラーレン・ホンダのスピードは、その言葉以上だった。
一方、予選で9番手を得たジェンソン・バトンは、「今シーズンで一番いい予選だった。ホンダは新しいパワーユニットを用意してくれたから、チーム仕事ぶりに頭が下がる」、と言った。
これを受けてアロンソも「今、僕らがすべきことはわかってる。PUのどこがそれほど脆弱なのか、どこを補強するべきなのか、それから、来年は先頭集団の中で闘うことを可能にできるだけのパワフルで強力なPUを持っているってことを確実にしないと」とコメントしている。
そしてレースでは、アクシデントで混乱したスタートをくぐり抜けたアロンソ+マクラーレン・ホンダが、4番手までポジションを上げた。それもハミルトン+メルセデスの前という、ここまでのマクラーレン・ホンダにしては信じられない光景を実現して。
◆いよいよチャレンジの舞台へ
結果として、終盤にセバスチャン・フェッテルのフェラーリやセルジオ・ペレスのフォースインディアに抜かれてアロンソ+マクラーレン・ホンダは7位となったが、舞台がここまでのマクラーレン・ホンダ、特にパワーユニットにとって苦手な設定のスパ-フランコルシャンだったことを考えると、後半戦の躍進が期待された。
既報のように、8月4日(木)に行なったインタビューで、ホンダF1レーシングの長谷川祐介F1プロジェクト総責任は、「いきなり表彰台争いは無理」としながら、「ウィリアムズは喰ってやりたい」とコメントしている。さらに、今後もチャンスは低速コースに限られると予測される状況の中で、「スパで全然闘えないかというとそうは思っていません」とコメントしていた。これを口にした段階で、ベルギーGPに向けてのある種の自信をつかんでいたに違いない。
また長谷川F1プロジェクト総責任は今後について、「難しいけれどやるしかない。ここで負けている、というのはホンダとしてあり得ないですから。”エンジンパワーでそれを挽回する”という作戦です」と語った。このコメントの信頼性は、今回の結果でさらに高くなった。いよいよ挑戦できるポジションに来た、ということだ。
◆鈴鹿への期待
スパ-フランコルシャンと鈴鹿の傾向が似ていることは知られたところだ。200km/hを大きく越える平均スピードの鈴鹿はでの活躍は、厳しいとみられていたが、スパ-フランコルシャンでの活躍を観た今となっては、鈴鹿での活躍に期待しないわけにはいかなくなった。
間違いなく、2016年第13戦ベルギーGPは、マクラーレン・ホンダの後半に期待を高めた一戦として、記憶に刻まれるレースになった。
[STINGER]山口正己
Photo by McLaren Honda/LAT Photographic