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ホットライン 2016 round17 / 日本GP–ボーゼンの展開!!

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優勝候補のハミルトンがスタートで大きく出遅れた瞬間に、流れが決まったレースだった。2016年を決定づけた鈴鹿の戦いを、クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が振り返る。


◆ハースの活躍、ハミルトンの出遅れ

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羽端恭一(以下、羽端):ウーン、何というか、言葉が出て来ないな(笑)。
STINGER編集長(以下、STG):いろいろありましたからねぇ。

羽端:ショックというより、何だろう? いろいろボーゼンとしているというか(笑)。
STG:ハミルトンのスタートとか? 

羽端:おお、それもありました。あれはけっこう、ボーゼンでした。レース前半戦の観客の楽しみを一気に奪ったというか。
STG:ミハエル・シューマッハもそうでしたが、上手の手から水がこぼれる、というか。追い詰められると案外弱い。

羽端:今回は、クルマのせいにはしなかったみたいですが。無線で「みんなゴメン!」とチームには言ってたらしくて(笑)。
STG:たぶん、しょんぼりしちゃったと思います。

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羽端:あと、ハースです。予選はスゴかったというか、信じがたいほどのポジションを確保したのに、決勝になったら消えてしまった。これにもボーゼンでした。
STG:金曜日から、フォースインディアの活躍が目についていましたが、まさにハースも。予選で、二台揃ってQ3進出には驚きました。それも、マシンに能力が問われる鈴鹿ですから。決勝ではロメイン・グロジャンが11位でしたが、パフォーマンスは、見事でした。

羽端:そうでしたね。中団の上くらいで、しっかり闘っていた。
STG:ですです。ホンダF1レーシングの長谷川さんは、8月のインタビューで、ウィリアムズ、フォースインディア、トロロッソに、”そう言っちゃうのは失礼ですけど、ハースが意外な活躍をしています”てなことおっしゃってました。マクラーレン・ホンダにとって、今回は完璧に目の上のタンコブだった。


◆「鈴鹿」という偉大なる”山”が立ちふさがった!

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羽端:そしてもちろん、もっとボーゼンとしたのは、マクラーレン・ホンダです。惨状とか、そういった言葉はあまり使いたくないですが、でも予選も決勝も惨憺たるもので。
STG:勝手な夢想がすべて外れちゃいましたね。

羽端:予選の時は、ひょっとして決勝セッティングに徹していて、だからタイムは出なくてもいいのかと思い込もうとしてましたけど。
STG:でも、フェルナンド・アロンソは金曜日の走行後に、「Q3は難しい」とコメントしてましたね。長谷川さんはレース後、期待外れだった、と。徹底的に確認したシミュレーションのタイムに届かなかった、と。

羽端:ジェンソン(・バトン)も土曜日に、今週は「タフな週末で」と言っていて。べつにシャミセン弾いていたわけじゃなかった。
STG:金曜から、アロンソはそこそこだったけど、バトンはセッティングに悩んでいたこともありました。

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羽端:そうみたいですね。そして”アロンソ・セット”にして、何とかいい方向になって?
STG:でも、結果を見たから言えますが、二人ともQ3は遠かった。決勝でも変わらずでしたね。

羽端:シャシーの能力とエンジン性能と。その二つが高度なところで「バランス」してないと、鈴鹿は速く走れない。そんな意味のことを、ホンダの長谷川さんはコメントしてたようですが。
STG:さらに、「その中で一番凹んでいるのはパワーユニットだと。なので、ホンダとしては、まずはそこが課題」、とコメントしています。

羽端:なるほど。
STG:ジェンソンは、「僕らのパッケージが一番活きるのは、低速コーナーとへヴィ・ブレーキング」。鈴鹿は「中速と高速コーナーと長いコーナー、それからロング・ストレート」というコースで、それらはみな、マクラーレン・ホンダにとって「トリッキーな要素」だと。

21戦の中で、速度域が高速の部類に入るモンツァ、スパ-フランコルシャン、シルバーストン、そして鈴鹿が苦手、ということですね。

羽端:そういえば、低速コーナーって、鈴鹿ではヘアピンしかない。
STG:実は元々、鈴鹿は彼らにとっては、相当、不得意科目だったのだけれど、前戦のマレーシア含めて、上昇カーブを描いていましたからね、マクラーレン・ホンダの成績が。なので、勝手な期待をしちゃってました。

羽端:ロング・ストレートでの速さがほしくて、たとえばダウンフォースを削ると、今度は高速コーナーが危なくて走れない、とか?
STG:それも含めて、いろいろ課題があって、細かい積み重ねがうまくいかなかった、ってことでしょうね。

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羽端:あ、わかりました。いったい何にボーゼンとしてたのか
。それは「鈴鹿」に対して、なのでした。
STG:鈴鹿? 

羽端:シンガポールの市街地コース、また、マレーシア・セパンの中速(?)サーキット。マクラーレン・ホンダにとっては、これらについては、どうやって走るか/攻めるかで、それなりの答えを出せた。「三強」のすぐ下につくこともできた。
STG:フム。

羽端:でも『鈴鹿』は、そんな彼らの「解」に対して、君たちのパフォーマンスや解釈はその程度なのか、レースはもっと深いぜ!と静かにダメ出しをした。
STG:“彼ら”に加え、我々も、ですね。鈴鹿は、完璧な高速コースで、登り区間もある、つまり、シャシー・ポテンシャルはもちろん、パワーユニットの能力が問われるサーキットでもあるわけですから。

羽端:ははあ。たしかに、その要素を忘れてました。
STG:いつもは糠喜びは後で悲しい、と分かったようなことを言っていますけど、糠喜びしすぎだったと反省してます。

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羽端:フッと思ったのは、『鈴鹿』っていうサーキットは、どのチームに対しても「わかった!」とは言わせないコースではないのか、ということ。そんな中で、メルセデスが「83点」でまとめて、レッドブルとフェラーリが「86点」でまとめた。なんでメルセデスだけ、点が低いかというと、彼らはエンジンでリカバーできるから。つまり、「三強」にしても、実はこの程度しか、「鈴鹿」という牙城には迫れてなくて──。
STG:要するに、マシンの能力が、パッケージとして優れていないと受け付けてもらえないコースだ、と。金曜日の会見で、長谷川祐介F1プロジェクト総責任は、”側面がふたつあって、まず、うちはいいサーキットを持っています”とちょっと自己批判というか、ジョークを言っていましたが、まさしく鈴鹿はそういうコースだと。

羽端:いいジョークですね、それ(笑)。ハセガワ・ファンになっちゃうな。そして、他のチームはもっと低いところで、むしろ困惑しながら「鈴鹿」でレースしてるのではないか。「50点」の状態でもレースはしなければならないし。
STG:ですね。 

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羽端:そのくらいに、鈴鹿サーキットという”山”は高くて、頂点も尖っている。マクラーレン・ホンダの今回の状況で、そんなことが見えた気がして、私はボーゼンとしていたのでした。
STG:う〜ん、鈴鹿は、高速の部類で、つまり、マクラーレン・ホンダ、というよりホンダにとって苦手な設定だった、ということですね。

羽端:「神」とか「神ってる」とか。流行りの言葉は使いたくないですが、でも、偉大なる何かが作った、一種の奇跡のサーキット。それが改めて浮き彫りになった。そんなことを考えてました。
STG:その前に、高速で苦手の設定だったというのは、言い換えれば、これは長谷川さんの言葉ですが、鈴鹿は、マシン性能に依存するところが大きいコースだと。だから”いいコース”なんですけど(笑)。逆に、残り4戦は、鈴鹿ほどマシン性能への依存度が高くない。 

羽端:ということは。
STG:またまた糠喜びじゃしょうがないですけど、マクラーレン・ホンダが、マレーシアまでのような上昇カーブを取り戻してくれる可能性がある、ということです。

羽端:なるほど。そう願たいですね。

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ところで、ニコ・ロズベルクのチャンピオンは、可能性が高くなりましたね。もしこのまま、彼が年間チャンピオンになったら、新スターの誕生という意味でも、とてもいいことだと思います。
STG:ほぼ決まりかも。ラウダ会長は、「よほどのことがない限り、ニコで決まりだろう」と言ってます。

羽端:あと、残るは4戦? 
STG:ですね。ルイスは優勝しても、ニコが2位なら7点しか追いつけない。33点差を逆転するのは簡単じゃないですね。

羽端:うん、ようやくボーゼンから、少し立ち直ってきました(笑)。
STG:でも残り4戦、長谷川さんの、「鈴鹿ほどマシンの能力が問われるコースがない」というコメントを信じて、マクラーレン・ホンダがマレーシアまでの上昇カーブを取り返してくれることを期待しておきたいですね。

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Photos by
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