残り2戦の計算–F1ワールドチャンピオンの行方
ロズベルグ(手前)とハミルトン。どちらも引けない闘い。
2016F1GPは残り2戦、いよいよ佳境、大詰めを迎える。
ニコ・ロズベルグ349点、ルイス・ハミルトン330点。21戦のうち19戦メキシコGPまでを消化した段階で、ワールドチャンピオンは二人に絞られた。言うまでもなく、タイトルを争うのはメルセデスのチームメイトの二人。点差は19点。この差は、大きいのか、それとも小さいのか。
残り2戦となったところで、ニコ・ロズベルグが圧倒的に優位にいる用に見える。次の第20戦ブラジルGPでニコ・ロズベルグが優勝すると、25点が加わり、ルイス・ハミルトンが2位だったとしても18点足した合計は348点、その差は26点となり、ニコ・ロズベルグのワールドチャンピオンが決まる。
しかし、逆も真なり。ルイス・ハミルトンが優勝すると、話がまったく違ってくる。ハミルトン優勝、ロズベルグ2位で、355点vs367点。その差12点で最終戦を迎えることになるからだ。
最終戦での”12点差”をどうか考えるか。ルイス・ハミルトンが優勝したとしても、ロズベルグは2位ならチャンピオン、3位でもギリギリで初タイトルを決められる。しかし、4位では逆転されてしまう。問題はここだ。
ニコ・ロズベルグは絶対に取りこぼしが出来ない切羽詰まった状況に立たされることになる。このデータをロズベルグがどう意識するかによって、最終戦が予測できない展開になる可能性が出て来る。
ニコ・ロズベルグは、ルイス・ハミルトンという超の付く天才のチームメイトになったことで刺激を受け、大きく成長し、さらに昨年の19戦の第17戦メキシコGPで優勝し、名物となったスタジアムに囲まれた表彰台で盛大なスタンディングオベイションを受けて自信をつけた。その証拠に、そこから年をまたいで7連勝した。
生まれ変わったような強さを身に着けたニコ・ロズベルグだが、3度のワールドチャンピオンを経験しているルイス・ハミルトンに対して、チャンピオン経験がないというハンディがある。初めてのタイトルを意識した不安な心境で、残り2戦で冷静なドライビングができるかどうか、そこが運命を変えることになる。
もちろん、それは第20戦ブラジルGPでルイス・ハミルトンが優勝した時の話だ。最終戦で苦しい状況にしないために、ブラジルでルイス・ハミルトンの前でゴールしておきたい。今度はそれがロズベルグにどうのしかかるのか、それとも、気合を充実させる方向に作用するのか。
いずれにしても、2016年のチャンピオン争いは、凄まじく激しく展開する。1週間後に迫ったブラジルGPは、戦いの熱さが地球の裏側の日本まで伝わってきそうだ。
◆ブラジルGPでタイトルが決まる条件
*ロズベルグ優勝なら決定。
*ロズベルグ2位でハミルトン4位以下なら決定。
*ロズベルグ3位でハミルトン6位以下なら決定。
*ロズベルグ4位でハミルトン8位以下なら決定。
*ロズベルグ5位でハミルトン9位以下なら決定。
*ロズベルグ6位でハミルトン10位以下なら決定。
*ロズベルグ7位でハミルトン無得点なら決定。
photo by PIRELLI / STUDIO COLOMBO