なぜハミルトンはお咎めなでフェルスタッペンにはペナルティ? 【ホワイティングの解説–その1–】
ブラジルのFIA公式記者会見にFIAのレース・ディレクターを務めるチャーリー・ホワイティングが参加し、先月のメキシコGPで起きた2つのケースに対するペナルティについてそれぞれ解説した。
今回、ホワイティングが解説したのは次の2つ。
■同じ場所でコースアウトによるアドバンテージを得たルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。似たように見える状況にもかかわらず、なぜ片方はペナルティなしで、もう一方がペナルティを受けたのか?
■メキシコからレギュレーションに加えられたブレーキングのレギュレーションに関して、ダニエル・リカルド(レッドブル)に対するセバスチャン・フェッテル(フェラーリ)の動きがなぜペナルティの対象になったのか?
※このページでは、『ハミルトンとフェルスタッペンのペナルティについて』の解説を掲載しています。
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■なぜハミルトンはお咎めなでフェルスタッペンにはペナルティ?
ホワイティングによる解説
・メキシコGP決勝のターン1で起きたハミルトンとフェルスタッペンのインシデントはまったく別のケース。
ハミルトンのケース(ペナルティなし)
・スタート直後にターン1でミスし、コースアウトからの復帰でトラックのアドバンテージを得たハミルトンは、すぐにそのアドバンテージを戻したことが確認できる。
・明らかにアドバンテージを得たハミルトンはターン3と4のあいだのストレートでスロットルを80%まで戻し、アドバンテージを帳消しにした。
・その約1分後にセーフティ・カーが出動し、そのアドバンテージは完全になくなった。よって、スチュワードはアドバンテージを得たと判断しなかった。
フェルスタッペンのケース(ペナルティあり)
・一方、レース終盤にハミルトンと同じ位置でフェッテルに対するアドバンテージを得たフェルスタッペンは、仮にターン3と4のあいだのストレートでハミルトンと同じ対応をとっていた場合、フェルスタッペンは明らかフェッテルにポジションを奪われていたと予測できる。
・ドライバー(フェルスタッペン)は長時間に渡ってアドバンテージを保ったままだったため、スチュワードはそれがペナルティに値する行為だったと判断したのだと思う。それが2つのケースの違い。
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ホワイティングの解説に対するフェルスタッペンのコメント(終始ハッキリした口調)
「もちろん裁定には賛成できないけど、そんなに違いはないんじゃない? 僕はペナルティをもらった。もしペナルティを与えるなら、2人に与えるか、どっちにも与えないべきだと思う。だけど、これから変えないといけないことは、(トラック自体に加工を施して)コースオフしたら自動的にツケを払うようにするべきってこと。スチュワードが干渉するんじゃなくってね。僕らはその解決方法について考える必要があるよ」。
ホワイティングの解説に対するハミルトンのコメント(終始落ち着いた口調)
「僕の方はチャーリーの説明に賛成だよ。それに関して特に言いたいことはないかな(笑)。 スチュワードは本当にすごく難しい仕事をしてくれてると思う。すべてのシナリオ(判断しなければならない状況)が同じじゃないから。たとえば、僕のインシデントのあとにセーフティ・カーが出たこととかね。たとえばだけど。シナリオは毎回微妙に違いがある。個別のケースに同じルールを適用するのはカンタンじゃないよ。そらから、マックスにも同意できる。チャーリーと一緒に考えないとね。僕らがしてきたように、1年通してね。彼らがもっとカンタンで明確な判断を下せるようにね」。
【STINGER】
Photo by Red Bull Racing / Getty Images/Red Bull Content Pool