どうなる、アロンソのインディ500チャレンジ
オーバルは一筋縄ではいかない。しかし、去年のウィナー、アレキサンダー・ロッシも初挑戦だった。
フェルナンド・アロンソが挑戦するインディ500は、インディカーレースの中でも、最もハイスピードのオーバルとして知られている。過去に、ジム・クラーク、グラハム・ヒル、エマーソン・フィティパルディ、ネルソン・ピケ、ナイジェル・マンセルなどのF1のワールドチャンピオンがインディ500に参戦し、多くが優勝を経験している。
一方で、マンセルはオーバルコースの初テストでクラッシュを喫し、ピケは、インディの練習走行でヘルメットがウォールにヒットしそうなほどの激しくクラッシュして両足を複雑骨折している。
オーバルコースの場合、平たく言うと、反射神経の鋭さがクラッシュを重度にするとも言われる。コーナーでテールがスライドした場合、鋭い反射神経でカウンターステアを当てて修正できるのが一流ドライバーのはずだが、超の付く高速のインディ500のようなコースでは、テールスライドした瞬間に、クラッシュは免れず、”いかに最低限のクラッシュに持ち込むか”が問われる。
コーナーでテールが滑ったら、カウンターステアではなく、さらにステアリングを切り込まなければならないというのだ。カウンターを当ててしまうと、クルマが反応して前からウォールに激突するが、ステアリングを切り込むことで、後ろから当たるようになるからだ。
積極的にそれができるかどうかは、幼年時代からオーバルコースに馴染んでいることが重要。だから、挑戦初年度にチャンピオンを奪ったマンセルも、最初のショートオーバルで洗礼を受けた。ピケは、高速のインディナアポリスだったために、怪我が大きかった。
もっともネルソン・ピケは、両足を粉砕骨折しながら翌年のインディ500に懲りずに参戦していることから、彼らの神経は、我々凡人の尺度では測れないのかもしれない。
いずれにしても、フェルナンド・アロンソのチャレンジは、気になるところ。今年はモナコよりも、インディに興味がひかれる、という声が、すでに出始めている。
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※以下加筆
インディカーのクラッシュで最も避けなければならないのは、クラッシュした後にコース上に戻ってこないようにすること、というのがある。超高速なので、後続車がよけられない可能性が高く、二次的な事故のインパクトは、別の次元でシリアスな事態を招くことがあるからだ。インディカードライバーは、可能な限り、”壁に浅い角度で当てて、壁に沿って止まる”ような操作をたたき込まれるという。スライドしたらカウンターではなく、ステアリングをさらに切り込むのは、ウォールに急角度でクラッシュして反動でコースに戻ってこないため、という理由があった。
また、正面からのクラッシュは、衝撃を吸収するが、後ろからだと、ギャボックスやエンジンという強固な構造物があることで、衝撃が吸収されずに、ドライバーの怪我が大きくなることも考えられる。そもそも、前から当たれば、ボディパーツの損傷で済むが、ギヤボックスやエンジンなど、高価なパーツが壊れることもない。
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[STINGER]山口正己
photo by Honda
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