アロンソのインディ計画の影響
佐藤琢磨に影響はないのか?
アロンソがインディ500に参戦するという突然の情報に、世界中が飛びついた。マクラーレンの新代表であるザック・ブラウンは、マーケティングのプロとして知られるが、この注目度からして、善し悪しは別にして、少なくとも面白い、という点で、これはなかなかの鋭い企画と言えそうだ。
まず、誰にとっても、ハッピーということ。マクラーレン自身にとっても、ブラウン代表が直接関係のないマクラーレン・オートモーティブにとってもメリットがある。ロードカーの生産にますます注力しているマクラーレン・オートモーティブにとって、中国が市場を急速に拡大している現状の中で、アメリカは依然として重要な拠点だ。
F1のパートナー(マクラーレンはスポンサーとは言わない)がそっくりそのままボディにロゴ提示がされるのも、パートナーにとって棚からぼた餅的プラス要素だろう。問題があるとすれば、モナコGPが反故にされたことくらいか。「F1の宝のひとつ」にモナコGPを掲げていたバーニー・エクレストンだったら、賛成しなかったかもしれない。
ただし、深堀すると心配も出て来る。アロンソが走るのは、アンドレッティ・モータースポーツ。代表のマイケルは、セナとチームメイトになったこともあり、マクラーレンとの関係も深い。しかし、すでに3台+2台、佐藤琢磨を含む5台をインディ500で走らせることになっているアンドレッティ・オートスポーツである。もう1台のために、優秀なスタッフが集まるのか。
半年前から準備を始めていたなら話は違うが、すでに優秀な人材は職が決まっている。残っているのは優秀でないクルーばかりか?
エンジンの準備は、簡単ではないにしても心配は要らないだろうが、チーム体制が懸念されることころ。下手して佐藤琢磨への影響も気になるところだが、ここは、アメリカ人のブラウンさんがインディ500の難しさやその辺りの事情を知らないはずもなく、ドキドキしながら結果を見せていただくことにしておこう。
[STINGER]山口正己
写真素材:McLaren Honda/LAT Photographic ・ INDYCAR/Chris Owens