シンガポールでマクラーレン・ホンダが速い理由
シンガポールGPのフリー走行3が、驚ける結果になった。
フェルスタッペン+レッドブル、フェッテル+フェラーリ、ハミルトン+メルセデスに次ぐ4番手にフェルナンド・アロンソのマクラーレン・ホンダが食い込んだ。5番手もストフェル・ヴァンドーンのマクラーレン・ホンダ。
突然異変とも言える結果はどうして記録されたのか。
その前に、フリー走行ではあるけれど、予選直前のフリー走行3は、予選のシミュレーションを行なうために、チームごとにさまざまなプログラムを行なう他のフリー走行と違って、基本的に全チームが予選を想定したアタックを行なう。従って、予選とほぼ同じ流れになることを確認しておきたい。
ただし、メルセデスのようにパワーユニットに“余裕”があれば、予選だけ“フルパワーバージョン”にするため、タイムアップが期待できる。フェラーリもそれが可能、となると、メルセデス搭載チームが予選でタイムを短縮する可能性がある。
フリー走行3で7-8-9番手だったフルケンベルグ+ルノー、ボッタス+メルセデスが上がってくることが考えられ、さらに、ライコネン+フェラーリも予選モードを持っているかもしれないが、マクラーレン・ホンダがシンガポールのマリナ・ベイ・ストリート・サーキットで好調な理由は、パワーユニットではなく車体にあるといえるかもしれない。
マリナ・ベイ・ストリート・サーキットは、公道コース。長い直線と直角コーナーをつないだレイアウトだ。つまり、ダウンフォースが必要な高速コーナーがない。また、直角コーナーでは回頭性の良さがモノを言うが、マクラーレンは出走11車中で最もホイールベースが短く、小回りが効く特性を持っている。つまり、ハンガリーのオンガロリンクやマリナ・ベイ・ストリート・サーキットは、得意科目といえる。
これとは反対に、最もホイールベースが長いのがメルセデスだが、絶対王者のメルセデスが上位にいないのは、曲がりにくい車体のためといえそうだ。
パワーユニットに関して、少なくともここでのホンダはそう悪くない、ということになる。長いストレートではパワーユニットが非力ではタイムが出ないことから、ここにきてホンダのパワーユニットがやっと目標に近づきつつある、という見方ができる。
この予測が本当だとしたら、離婚を決めたマクラーレンは、もしかして、ガッカリしている?!
[STINGER]山口正己