アロンソの目論見–カウントダウン企画 2018F1GP開幕まであと93日
F1が楽しみになる、あんな話、こんな話。
(94からつづく)
フェルナンド・アロンソは、ワールドチャンピオンになるためにF1を続けている
はずだが、まてよ。インディと、ルマンに勝ち、すでに勝っているモナコとのハットトリックへの興味の方が、もはやF1よりも上?
ならば、勝てないマクラーレンでも、乗っていることによるイメージが大切で、すでに心はそちらなの?
そういえば、インディは2年目に向けて着々と計画進行中のようだし、トヨタTS050 HYBRIDのテストをこなして、こちらも耐久の構えで“計画”を進めている。そして、ポルシェが撤退した2018年、ルマン制覇のチャンスが、トヨタに回ってきたという風向きもある。
トヨタにとってルマン制覇は、敵不在の舞台でややトーンダウンを否めないが、アロンソの『夢』は、どんな形であろうと勝てばいい。いやむしろ、トヨタにとっても話題を集めるという意味で、アロンソ加入はメリットだらけに見える。
ただし、2018年ルマンにアロンソが乗るトヨタが勝ったとして、話題になるのはトヨタなのかアロンソなのか、という視点も気になってくる。
しかし、アロンソにとっての問題は、インディが勝つのが世界一難しいレースであり、ルマンが世界一過酷なレースということだ。
インディは、勝つ可能性のあるドライバーが少なくとも10人はいる。オーバル、中でも、4kmに及ぶ大型で超高速のインディアナポリスのリスクは、通常のレースはもちろん、数あるオーバルの中でも圧倒的。今年の佐藤琢磨がそうだったように、総てを完璧に整えない限り勝利はおぼつかない。逆に言えば、リスキーだからこそ、そこをかいくぐれば寄り多くのドライバーにチャンスがあり、だから特定の誰かが勝つのが難しい。
もちろん、ルマンも簡単ではなく、その前に、最強に見えるトヨタには、大きな弱点がある。ドライバーラインナップに優勝経験者がいないことだ。そして、ポテンシャル的に相手ではなかったはずの格下のレベリオンが、アウディで何度も優勝を経験しているアンドレ・ロッテラー引っ張り込んで体制を強化して、思わぬ伏兵になっていることもある。
とはいえ、『夢』に向ってアロンソが邁進しているのであれば、それはそれで素敵なことだ。アロンソのことだから、それなり以上の勝算があってのことだろう。
さて、アロンソの動向も、F1に限らず、2018年の注目項目に違いない。
(92につづく)
[STINGER]山口正己
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