バーレーンGPはF2も注目!!
今週末のバーレーンGPから、2018F2シリーズが開幕する。今年もF2は、バーレーンGPを始め、ヨーロッパラウンドのF1のサポートレースとして行なわれる。その注目は、GP3で大活躍をしてF2にステップアップする福住仁嶺のチャレンジだ。21歳は、ヨーロッパF2とスーパー・フォーミュラにフル参戦する。
福住仁嶺(ふくずみにれい–亜久里、右京、虎之介、琢磨などなどと同じく例によって、”特殊な名前”)は、昨年ヨーロッパGP3シリーズで活躍し、シリーズ3位に食い込んだ。ホンダの育成ドライバーの中でも生え抜きの、松下信治、牧野任祐と並ぶ『F1予備軍』。
今シーズンが、トロロッソ・ホンダの成績が好調で進み、2019年にレッドブルにパワーユニットが供給されて、トロロッソが継続になれば、4席できるシートのうちのひとつが彼ら3人の誰かのものになるかもしれない。そのシートに最も近いと思われているのが福住仁嶺だ。
もちろん、スーパー・フォーミュラに参戦する松下信治も、そして福住仁嶺と同じくヨーロッパF2に参戦する牧野任祐も、今年の活躍によっては、チャンスがあるが、さて、どうか。
福住仁嶺は、天然自然なドライビングテクニックは、カート時代から直近で彼らを観ている関係者全員が認めるハイレベルな領域にある。同じクルマを与えてパッと乗ったら、福住仁嶺は、ピカイチの速さを見せる、というのが彼らの意見だ。
ただし、GP3までは、その力がそのまま活かすことができた。しかし、F2やスーパー・フォーミュラは、若干話が違ってくる。
F2 やスーパー・フォーミュラ、そしてもちろんF1では、より高度なエンジニアリング対応力が必要だからだ。要するに、自分好みのマシンを作れるかどうかがカギを握る。
古くは、ロニー・ピーターソンがこのタイプだった。どんなにオーバーステアなクルマに乗せても、”アンダーステア”というエンジニア泣かせのコメント。素晴らしく速いが、どんなクルマも、直感で吸収して乗りこなしてしまうから、”さらに速くする”となったとき、クルマ作りができない。ウデが立つだけに、実はその領域が弱点になる。
去年、スーパー・フォーミュラに参戦したピエール・ガスリーは、マシンを作る、という部分が優れていた。シーズン開始当初は、スーパー・フォーミュラのレベルの高さに苦戦していたが、やがてエンジニアと相談して勉強をすることで、そこを克服して、夏ごろには速いクルマを作れるようになった。福住仁嶺の課題は、ピエールと同じように、F2やスーパー・フォーミュラに対応できるかどうか。
もちろん、凄まじく優れたエンジニアがいれば話は別だ。彼が速いマシンを作ってくれるからだが、そこまでスーパーなエンジニアは、そうザラにはお目にかかれない。
この観点からは、ヨーロッパF2からスーパー・フォーミュラに天下りした松下信治にも注目しておきたい。マシンを作る能力は、3年間のGP2/F2で立証済み。好不調の波を整えることができれば、一転突破で2019年のF1シートにたどり着けるかもしれない。
もちろん、3人の後ろには、笹原右京を筆頭に、”やらせてみたいドライバー”がひしめいている。
まずはトロロッソ・ホンダが好調に進化を進め、2019年につながることを思って、バーレーンGPのF1とF2を見つめたい。そして同時に、4月21日に始まるスーパー・フォーミュラもお楽しみに!!
STINGER 山口正己
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