シリーズ・バーチャルセーフティカー :その25・モナコGPとインディ500の覇者は両方オージー
5月27日に決勝レースを行なったモナコGPとインディ500のウィナーは、ダニエル・リカルドとウィル・パワー。どちらもオーストラリア人でした。
二人とも伝統のレースは初優勝でしたが、はて、どうしてオーストラリア人なのでしょう。
そもそも、オーストラリアは、モータースポーツの中心であるヨーロッパやアメリカからは地球の裏側の最も遠い場所。極東の島国といわれる日本より、条件はよろしくないはず。なのに、レースが盛んで、F1にはすでに、ジャック・ブラバム、アラン・ジョーンズというワールドチャンピオンが存在します。その理由は、英語圏であることが重要な要素といえそうです。
1950年からの近代F1GPを推進したのはイギリスであり、現在も、10チームのうち、フェラーリ、トロロッソ、ザウバー、ハース以外の6チームの本拠地はイギリス。ミルトンキーンズを中心に発展する『モータースポーツ産業』は、イギリスの経済の一端を担っており、フランス人には申し訳ないけれど、モータースポーツの中心は、英語の国イギリス、という意見には強烈な説得力があります。
言語を基盤としてモータースポーツがオセアニアにも広がり、1960年代にはノンタイトルのF1も開催され、モーターレーシングが深く根付いていきました。
そこに先鞭を付け、さらに人々の熱狂を加速させたのが、作って走れるジャック・ブラバムの存在でした。そして今、ダニエル・リカルドとウィル・パワーが、オーストラリアに希望を与え、憧れを抱いて目を輝かせてテレビを観ていた子供たちに勇気を与えた、と思うと、なんともうらやましい気分になるのです。
[STINGER]山口正己
photo by Aston Martin Red Bull Racing、INDYCAR