ホンダに何が起きたのか–F1ロシアGPのトロロッソ
トロロッソ・ホンダの二人は、F1ロシアGP金曜日のフリー走行で、パワーアップしたスペック3と呼ばれるホンダのパワーユニットの好感触を確認していた。
確実にパワーが上がり、ドライバビリティも上々。しかし残念ながら、細かい不具合が見つかりスペック2に搭載し直して予選とレースを闘うことになっていた。
チームは、パワーユニットをスペック3に積み替えた時のペナルティで、18番手と20番手からスタートすることになっていた2台の作戦を分け、ピエール・ガスリーをソフト・タイヤ、ブレンダン・ハートレーをハイパーソフトでスタートさせ、ハートレーは直ぐにピットインしてソフトに換えてレースを闘う作戦を取った。だが、予期しないトラブルに見舞われ、僅か4周で2台ともリタイアを喫することになる。
2台とも高速のブレーキングでリヤの制御を失うという同じ症状でスピン。接触アクシデントにはならなかったが、ピエール・ガスリーもブレンダン・ハートレーも、ピットに呼び戻されて僅か4周でリタイアを喫する残念な結果になった。
ピエール・ガスリー
「スタートしてずっとブレーキペダルが奇妙な感じがしていた。ストロークが長くなり、踏みシロが遠くなった。3周目のターン4のアプローチでブレーキをかけたら、ブレーキがフラットになってスピン。リタイアしなければならなかった。何が起きたか、データ確認する必要があるけれど、スタートして直ぐに2台ともリタイアなんて残念すぎる」
ブレンダン・ハートレー
「同じことが同じタイミングで両方のマシンで起こったので、検証して整理しなければならないですね。でも、金曜日に確認したシャシーとパワーユニットのアップグレードとパフォーマンスで、鈴鹿に向けて興奮しています」
フランツ・トスト・チーム代表
「2台ともリタイアしなければならなかったので、悔しい日になりました。ブレーキが熱を持って、キャリパーの1つが固着してしまったようだ。ブレーキ液のオーバーヒートでロングベダル(踏み代が深くなる)を引き起こした。昨日から車両保管状態でなにも触っていないので、詳しく原因を究明する必要がある」
「ロシアでのポジティブな面は、ホンダの新しいパワーユニットが大きく改善されたこと。私たちは鈴鹿のためにすべてを準備することに集中しています。鈴鹿で良いレースができることを願っています」
ホンダF1田辺豊治テクニカルディレクター
「トロロッソとホンダの全員が週末全力で頑張った後に、テクニカルなトラブルでわずか周回でリタイアしなければならなかったのは非常に残念でしたが、今週の金曜日に始まる鈴鹿の日本GPに集中しています。日本のファンの前でのより良い週末を楽しみにしています」
トラブルは残念だが、パワーユニットの載せ換えによるペナルティ、そしてブレーキトラブル。しかし、不具合は早めに出してしまった方がいいとも。トラブルの解析は当然として、流れが変わっていい方向になることを祈って鈴鹿を待ちたい。
[STINGER]山口正己
photo by Honda