試される“スペック3”の真価—ブラジルで再投入のホンダ最新兵器
インテルラゴスのブラジルGPに向けて、ホンダは、ロシアGPで投入し、その後一端引っ込めていた最終進化モデルの『スペック3』パワーユニットを投入する。ステップ2に比べて35馬力パワーアップしているといわれ、ポテンシャルが格段に上昇したことが、すでにピエール・ガスリーが確認済み。今週末の展開が注目されている。
田辺豊治テクニカルディレクターは、残り2戦となったブラジルGPを前に、いつものように冷静なコメントを届けている。
「インテルラゴス・サーキットはカレンダーの中で2番目に短いですが、いくつか考慮すべき特徴があります。その一つが、約800mの標高です。標高2200m超だった前回のメキシコGPほどには厳しくありませんが、ターボの負荷とクーリングについては平地と比較して若干厳しくなります」
メキシコ・シティの標高、真っ先に話題に上がるが、サンパウロは意外に忘れられ勝ちだが、空気が薄い高地となると、ますますスペック3への期待が高くなる。
「また、急な天候変化でも有名なサーキットですので、あらゆるコンディションに対応できるよう準備を進めます。過去のレースでの雨による波乱が思い出されるますが、個人的にはアイルトン・セナ選手が雨の中でマシンにトラブルを抱えながら母国グランプリ初優勝を果たした1991年のレースが特に印象に残っています」
1991年のブラジルGPは、母国で勝てなかったセナが、ポールポジションから一度もトップを譲ることなく、予選も決勝も、ナイジェル・マンセルとリカルド・パトレーゼのウィリアムズ・ルノーを寄せつけず、勝利を飾り、ゴール後に歓喜の奇声を発したレース。田辺豊治TDは、ゲルハルト・ベルガーの担当エンジニアとして、ピットのサインボードエリアでこのレースを闘った。
感慨深い想い出のサンパウロの週末が始まる。
[STINGER]山口正己
photo by Honda