“アットホームなフェラーリ”

ミック・シューマッハは、バーレーンでフェラーリF1のステアリングを初めて握り、56周を走ってマックス・フェルスタッペンのレッドブル・ホンダに次ぐ2番手タイムを記録し、マシンを降りた後に、「まるで家にいるような感じだった」とコメントした。実にフェラーリらしい待遇だったのだ。
フェラーリは伝統的に、初めての舞台に臨むドライバーやスタッフを歓迎する姿勢を明確に示すことで知られる。例えば、フェラーリと契約して、マラネロの工場を訪れると、そこに置かれた最新のマシンのコクピットフェアリングに、自分の名前が張られているのを見たら、誰でも気分がいいだろう。フェラーリはしきたりとして、そうしたことを非常に大切にするチームなのだ。
実は、これはドライバーだけでなく、エンジニアに対しても同じという。2012年に、ブリヂストンからスクーデリア・フェラーリ入りした浜島裕英エンジニアは、最初にフェラーリを訪れた日に、当時のチーム代表でありフェラーリの社長だったルカ・ディ・モンテゼモロの部屋に呼ばれた。カリスマの社長が直々に歓迎の言葉をかけてくれたことに感激したそうだ。さらに、住む場所などの心配があったが、「トランクひとつで大丈夫、部屋は用意してある」と言われて驚いたという。こうしてチームのモチベーションを高くしようとするのがフェラーリだ。
日本人のマインドの根底にもある浪花節と、どこかで繋がるフェラーリの心遣い。ミック・シューマッハが気分よく2番手タイムを記録できたのは、当然のことだった?!
[STINGER]山口正己
photo by FERRARI




