ホンダ田辺TDの明るい表情はポールリカールの気候のせいばかりではない
田辺TDのフランスGPを前に、開発がF1レーシングだけでなく、ホンダ全体の叡知を尽くしたものであることを語っていた。
「今回はパフォーマンスの向上を図るためにICEとターボのアップデートを行なった。F1のPU開発で更なる競争力向上を目指し、Hondaの各開発部門と連携を深め、特に、航空エンジン研究開発部門との関係を強化して技術を適用、信頼性を大幅に向上させました」
2輪/4輪/汎用に、「空」を加えてモビリティを包括するホンダならではの開発体制が、いよいよ効果を出してきた。田辺TDは、第二期F1時代に、ターボの研究で最前線にいた経験から、感触を感じている、ということだ。
田辺TDが指揮をとる現場と、浅木泰昭執行役員が牽引するさくらの開発部隊だけでなく、ホンダ全体の動きに広がり、ターボーチャージャーのアップデートでの、IHIと“ターボの空力設計”まで視野に入れ、“航空エンジン開発部門の知見と技術”が活かせている。目先のフランスGPだけでなく、ホンダ全体が理想像に向かっていることを証明する笑顔といえるのかもしれない。
ただし、糠喜びをしないのが田辺TDの生きざま。最後に、自らの位置を確認し、さらなる進化が必要だと、自らを戒めている。
「ただし、今回のアップデートではまだ上位のPUマニュファクチャラーに追いつくだけのパフォーマンスレベルには至っていないと考えていますので、引き続きHondaとして総力を挙げて開発を続けていきます」
フランスGPはまだ初日が終わったことろだが、目先のことだけでなく、長いスパンで進化を続ける決意が見えてくる。
[STINGER]山口正己
photo by Honda