オーバーヒートに苦しんだメルセデス
オーストリアGPで、メルセデスが信じられない不振にあえいだ。バルテリ・ボッタスが表彰台に乗ったが、ルイス・ハミルトンは5位。不振の主な原因は、オードーヒートの兆候だった。
オーストリアGPの会場のレッドブル・リンクは、毎年高温になることと、海抜700mという高地にあることで、冷却には厳しくなる。高地になると空気密度が下がって冷却効率が下がる。気温が高くなれば、さらに条件が厳しくなる。
しかし、吸入気温が20度から21度が理想的といわれるが、気温が高くなったとしても、20度の差。時には1000度に達するというF1エンジンの温度に対して僅か2%でしかない。
路面温度は50度を越えるから、路面近くからの吸気温度は高くなるとしても3%。1000度に比べれば些細な差に見える。そこにどうして苦労するのか。
それはF1のパワーユニットが、徹底的に攻め込まれて設計されているからにほかならない。ラジエターも極限まで小型化されている。当然のことだが、メルセデスがオーバーヒートに苦しんだ、という状況には、F1 Qualityの実態が隠れていた、ということになる。つまり、ギリギリに攻め込んで、だから強いメルセデスだからこその悩み、ということだ。
次のイギリスGPのシルバーストンは、オーストリアのレッドブル・リンク同様に高速コース。気温は30度を越えることもあるけれど、標高は高くない。さてメルセデス、悩みは軽減され、最強に復帰する?!
[STINGER]山口正己
photo by Melcedes