ハミルトンvsフェルスタッペンの壮絶トップバトル
2019F1GP第12戦ハンガリーGPは、マックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトン、レッドブル・ホンダとメルセデスが歴史に残るトップバトルを展開した。
ドライバーの腕だけでなく、ブレーキとタイヤの消耗をギリギリに計算し尽くした上でのチームの作戦が激しく火花を散らした。
帝王メルセデスに対して、新進気鋭で勢いのあるレッドブル・ホンダ。ドライバーはハンガリーGPで6回優勝しているルイス・ハミルトンと、土曜日の予選でポールポジションをひねり出したマックス・フェルスタッペン。現代F1のトップ2といえる二人の闘いは、23万人と発表された観客の目を釘付けにした。
ポールポジションのフェルスタッペン+レッドブル・ホンダが好ダッシュを決め、予選2番手のハミルトン+メルセデスとボッタス+メルセデスも好スタート、3台が横に並ぶスリーワイドで1コーナーにアプローチするスリリングなシーンで闘いの火蓋が切って落とされた。
ハミルトン+メルセデスと、先陣争いを展開したボッタス+メルセデスが軽く接触、ボッタス+メルセデスはその煽りでさらにルクレール+フェラーリとも当たり、フロントウィングを壊して、ピットの準備が整った5周目にピットインして最後尾に落ちる。
レースは、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダがレースをコントロール、リードを保っていたが、最後を決めたのは、メルセデスがギンブル的に採った2ストップ作戦だった。
フェルスタッペン+レッドブル・ホンダは25周目にミディアムからハードに交換したが、ハミルトン+メルセデスが同じくハードに変えたのは31周目。この6周の差が2台の中盤のペースを、決めた。
70周レースの40周、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダのDRSゾーンでチャンスを伺っていたハミルトン+メルセデスが、1コーナーで並びかけるが果たせず。一端下がってブレーキとタイヤを冷却して再びDRSゾーンに近づいて手に汗握る状態が続いていた。このままのシーソーゲームが最後まで続くと思われた47周目、ハミルトン+メルセデスが突然ピットインした。
メルセデスは、新しいタイヤを着けて残り25周で逆転をねらう作戦に出たのだ。この作戦を受けとめたルイス・ハミルトンがレース終盤の主役になる。
タイヤが辛くなったフェルスタッペン+レッドブル・ホンダに対して、タイヤ交換のピットインで20秒ほど後方に下がったハミルトン+メルセデスが、ファステストラップ連発でジリジリとフェルスタッペン+レッドブル・ホンダに近づいていく。
追うメルセデスは、“たとえタイヤが終わっても、ピットインして交換すれば、3位と充分な差があるから2位は安泰”と計算、ギリギリのペースで追い上げられたが、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダは、傷んだタイヤでゴールまで逃げるしかない。
2台のラップタイムの差は、最低1秒、最大2秒。47周目に20秒あった差は、60周目には12秒、64周目に5秒に縮まった。1分18秒台で追うハミルトン+メルセデスに対して、フェルスタッペン+レッドブル・ホンダのラップタイムは1分21秒台に落ち、遂に70周レースの67周周目のストレートで、ハミルトン+メルセデスが前に出た。フェルスタッペン+レッドブル・ホンダは、抗うことなく、あっさりと首位を明け渡した。
[STINGER]山口正己
photo by FIA