57歳の偉業。サインツのダカール・ラリー3勝目に親子の絆
2010年、2018年に続いて、三度目のダカール・ラリーを制覇したカルロス・サインツSr.に対して、世界中から称賛の声があがっている。
ミニ・ジョン・クーパー・ワークス・バギーを駆るカルロス・サインツは、2020ダカール・ラリー初日から快調なペースでラリーをリードし、総合順位では一度もトップを譲らずに12日間の冒険を乗り切った。世界中の賛辞の中で、際立っていたのは、息子でF1ドライバーのカルロス・サインツJr.からの言葉だった。
「3回の勝利は3種類のブランドの違うクルマ。今年は57歳、同じ情熱を保ち、同じ欲求を保ち、同じ仕事を続け、同じ犠牲を払い、同じモチベーションを持ち続けた。ボクが子供みたいに誇りに思うのは、説明は難しいけれど、凄い、大好きだよ!!」
パパ・カルロス・サインツは、Jr.がフォーミュラBMWに参戦している頃からサーキットを訪れ、常に息子を最善の状態におけるように気づかっていた。それはF1ドライバーになってからも一貫していたが、決して出しゃばったりせず、常に控えめにチームのホスピタリティスペースの片隅に腰掛けていた。
そうしておとなしい老人に見えていたが、日々の鍛練を重ねて、今回の偉業を達成した。間近で観ていたJr.の尊敬の念は、想像できて余りある。
57歳という年齢は、厳しいダカール・ラリーを思えば、日々のトレーニングのたまものを思わせる。
[STINGER]山口正己
photo by REDBULL / McLaren