コロナの現状とF1GP–津川哲夫さんからのメッセージ
エンサイン、トールマン・ハース、ベネトンのメカニックからF1ジャーナリストに転身し、イギリスに拠点を置き、トールマン時代はアイルトン・セナの担当メカニックだった津川哲夫さんから、コロナ禍へのメッセージが届いた。
「F1チームは、小さなチームでも400〜500人の従業員を抱えている。コロナ・ウィルスのアウトブレークで、チームの収入減の根本をなすグランプリが中止あるいは延期においこまれ、少なくとも公式にはカナダ・グランプリまで、延期・中止が発表されている」
「続く欧州戦、フランスやイギリスももちろん、イタリアもほぼアウトのはず。元FOMのボス、バーニー・エクレストンは”シーズンそのものを来年に完全延期をする勇気を持て”と現オーナーに対して言っているが、嫌でもそうなる様な情勢となってしまった」
「リバティーメディアを含めて全F1チームは、レースがなくなったことで収入源の多くを断たれ、現在経済的な破綻一歩手前にまで追い込まれた。最初にウィリアムスがリストラを始めている。FIAは新レギュレーションの施行を22年へと一年ずらしたことで、開発費用に関してはセーブ出来ることになったが、チーム従業員の人件費は毎月出ていってしまう」
400人〜大チームは1000人を超えるのだから、その人件費は膨大だ。そこで考え出したのが人工呼吸器の開発・生産。コロナ・ウィルスの蔓延は、ヨーロッパ、特にイタリア、フランス、スペインそして英国で完全なオーバーシュートとなり、必要な人工呼吸器がまったく足らず、死者の数を増加させている」
「ここで英国在住のF1チームが協同で、新しく人工呼吸器の開発と生産をすることに決めた。もちろん国との共闘であることは当然だ」
「F1チームの持つ3Dプリンター技術、機械加工技術、エアロ技術、コンポジット技術、油圧・空気圧・電子制御・・・・等々の総てが一つ屋根の下で使えるという、開発生産に持ってこいの環境だ」
これにはもちろん国からの援助があるはずで、完全ボランティアではないのは言うまでもない。こうすることで、外出禁止中に、一部のスタッフをチーム内で働かせることへの大義が生じる」
「また今シーズンに使えなくなったマティリアルの消費などにも繋がり、チーム継続のわずかではあるが足しになるはずだ。大きなチーム、特に自動車メーカーチームならば、この行動は高く一般に評価されるはずで宣伝効果も高まりそうだ」
「F1は今瀕死の重傷を負ってしまった。特にこのままパンデミックが収束しなければ、潰れるチームが出てくるはずだ。特に独立したプライベートチームの存続はかなり厳しいことになるだろう」
「今シーズンの開催を模索しているのはもちろん経済的な問題だが、オリンピックとメジャースポーツの総てが開催中止あるいは延期している中で、F1だけが開催出来る・・・・訳はないのだ」
「F1チームの素早い反応も、もちろんチームスタッフやその家族の健康重視と言う建前だが、現実は如何にこの経済的難局を乗り越えるか・・・・への真剣味が素早い反応をさせていると言って良いいだろう」
「超巨額の資金を使おうとも、F1チームやはり中小企業の形態からは出られず、生き残りには大変な努力が必要と言うわけだ」
【STINGER】
photo by [STINGER]