バーニー・エクレストンとチェース・キャリーの“やり方”
F1GPは、現在、リバティ・メディアから発したフォーミュラワン・グループが統括している。代表は、チェース・キャリー。立派なヒゲのアメリカ人だ。
一方、リバティメディアに実権が移るまで、イギリス人のバーニー・エクレストンが全権を掌握していた。
この二人のコントロールでF1GPが運営されてきたが、バーニー・エクレストは、その“時代”が40年も続いたことから、人物像や実績がより明確に伝わっている。チェイス・キャリーがF1の代表になってから、まだ数年しか経っていないから、認識不足があるかもしれない。
だが、二人は明確に異なるように見える。エクレストンは、“金の亡者”などと揶揄されることはあるが、それは僻み思考の考え方で、商材としてはもちろんだが、F1GPを心から愛している、ということは多くの識者が認めることろだ。
対するキャリーは、商業的な側面からだけF1GPを捉えているように見える。この違いが、F1の未来がどうなるかの別れ道になるかもしれない。
エクレストンは、現在もキャリーが率いるフォーミュラワン・グループに所属しているが、主導権はキャリーにあり、アメリカ的商業的な思考回路でF1GPは運営されている。そのキャリーのやり方に対して、エクレストの名文句がある。
「F1をファーストフードのように扱わない方がいい」。
まさに、現在のF1は、ファーストフード的な扱いで進められている。もちろん、それが好結果をもたらすこともあるが、F1は、気軽にパクつけるファーストフードではなく、高級料亭のようなクォリティとして認識され、“ブランド”として歴史を刻んできた。
手軽さを選んでいるキャリーのやり方が、どう出るのか。コロナ騒ぎの中でF1GPの行く末が気になる。
[STINGER]山口正己
photo by Formulaone.com