ホンダ、オーストリアGPに進化型パワーユニット!!
アストンマーチン・レッドブルとスクーデリア・アルファタウリは、今週末に行なわれる2020開幕戦のオーストリアGPに、最新仕様のホンダ・パワーユニットを搭載する。
レッドブルは、先週の撮影日にシルバーストンでテストしたフロントウィングとフロアを、アップデイト空力パーツとしてレッドブル・リンクに持ち込むと言われ、2月末のテストとは車体もパワーユニットも進化バージョンになる。
メルセデスが拠点を置くイギリスのブリックスワースや、ルノーのフランスのヴィリー、そしてフェラーリのマラネロなどは、ほぼ同様の規制の中で、コロナ禍の工場閉鎖を受けたが、日本の和光が開発の中心地となるホンダは、コロナ規制に若干の差がある。いずれにしろ、今週金曜日のフリー走行を経て行なわれる土曜日の予選で、“違い”が確認されることになる。
また、2020年のパワーユニット規則では、開幕戦の仕様がほぼ凍結され、パワーユニットは、MGU-Kのエネルギーストアのアップグレードが許されるのは1回だけだが、開幕戦に持ち込むパワーユニットについて、サクラ研究所責任者である浅木泰昭LPLは、「スペック1.1”くらいです」とコメントしている。
予定通りにレースが開催されていれば、第11戦の予定だったオーストリアGPに向けて、ホンダは、開幕戦のスペック1を進化させたスペック2を持ち込む予定だった。しかし、開催が4カ月後に延期され、2月末の直前テストからの閉鎖を含む4カ月の間に実戦テストができてかったことから、“スペック1.1”ということになった。もちろん、ベンチでのテストは徹底して行なってきたが、「実際に走らないことには」と浅木LPLは、実戦からのフィードバックの重要性を強調した。
パワーユニットに対するこの間の進捗具合は、メルセデスもフェラーリもルノーも似たようなところにあるはずだが、山本雅史F1マネージング・ダイレクターは、正式に決まっている8戦のうち、「サクラの浅木や、イギリスの田辺(豊治テクニカル・ディレクター)と話をしていて、4勝はしたいと思っています」と期待のコメントをしている。
メルセデスは、最強エンジンの立役者だったエンジニアのアンディ・コーウェルが6月一杯で離脱するという気になるニュースもある。一方、ルノーのアビデブールは、1月に、「すでにメルセデスを上回るパワーが出ている」と豪語し、出力最大と言われたフェラーリは、信頼性を高めて虎視眈々だ。
ホンダが、メルセデス、フェラーリ、ルノーにどこまで食い下がれるか、開幕戦の大きな見どころになりそうだ。
[STINGER]山口正己
photo by Yuji Shimizu / STINGER