面白くなるぞ2023F1GP!–その1ホンダの本気モード
まずは、ホンダだ。
レッドブルとのジョイントを、 チーム名の頭に“HONDA”を着けてホンダ・レッドブル・レーシングとして「より一層、F1へのチャレンジを明確にした」と、4輪モータースポーツの最高責任者である渡辺康治HRC社長/本田技研工業株式会社ブランド・コミュニケーション本部長)は、12月12日に行なわれたHondaモータースポーツ活動計画のあいさつで強調した。
公式的にホンダがF1に戻るのは「2026年から」とされているが、実はそうではない。すでに2022年にはレッドブルとスクーデリア・アルファタウリに事実上のPU供給を行ない、HRCが支援しているが、2023年は“そのまま”ではないことを、渡辺社長に続いて登壇した青山真二取締役執行役のコメントが裏付けた。
「ホンダは、世界の舞台で難題に挑戦し、それを克服しして勝利を重ね、チャレンジの志をさらに強化してきました。カーボンニュートラルの実用化に向けても、取り組みを強化していきます」と青山取締役。
また、2輪中心だったHRCは、今年からF1を頂点とする4輪レース活動も担う新体制となるが、「2輪/4輪を束ねて得られる技術とノウハウの相互連携のシナジーに期待を寄せている」、と続けた。
一方でホンダは、11月15日の締め切り日ギリギリのところで、FIAにパワーユニットの『製造者登録』を行なっている。つまり、レッドブル・パワートレインズに委託したはず(!?)の開発を、2023年はさらに積極的に後押しする、というより『先導する』と考えるのが自然の流れのなかでさらに深読みすると、ギリギリに『製造者登録』を行なったのは、トップチームの対応時間を極限まで減らす、という思惑があったのではないかと勘繰りたくなる。そこまで考えると、渡辺社長が表明した『F1へのチャレンジ』の相手は、トップチーム、つまり、メルセデスとフェラーリになる。
要するにホンダは、カーボンニュートラルを視野に入れながら、戦いの場で培ってきたテクノロジーを、F1という頂点で発揮するチャンスを手に入れ、これまで考えられていたより一段高いギヤでF1活動が進む準備が整った、ということだ。そう考えると、2026年は、『HRC』の名の元に、ホンダがチームとして復活する、という筋書きが見えてくる。
もちろん、シフトアップしたホンダの動きに対して、フェラリーやメルセデスが指をくわえて見物するはずもない。フェラリーは、2022年に取れなかったタイトルを取り戻すためにマティアス・ビノットチーム代表を飛ばして万全の態勢を固めており、メルセデスも、チームのエースであるルイス・ハミルトンの8度目のタイトルに向けてチームの士気が高まっているはずだ。
そして、中団グループでも、ザウバーのチーム代表だったフレデリック・バッサーがフェラーリのチーム代表に就任、そのザウバーには、マクラーレンからアンドレアス・ザイドルがCEOに迎えられる。フェラーリからマクラーレンに移籍してエンジニアを努めていたアンドレア・ステラが、チーム代表に昇格するのも大きな話題だ。
その2に続く
[STINGER]山口正己
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