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【2019】 モナコGP

モンテカルロ市街地サーキット

◆F1最高権威のバーニー・エクレストンは、”フェラーリとマクラーレンとウィリアムズとモナコ”を『F1の4つの宝』と言っている。他のモノに換えられない、という意味である。

◆ふつうF1のスケジュールは「金土日」だが、モナコは「木土日」。生活道路を閉鎖するので、生活に支障が出ないように、というのが表向きの理由。しかし実際には、観光客を長く留めておきたい、というのが本音!?

◆発祥当時、パリから有名建築家を呼んでビルを設計させたという。モナコ湾を囲むそのビルの谷間に、木曜日の朝10時、静寂を破って最初のフリー走行のエンジン音が聞こえ始める。背後をビルに囲まれ、前面が地中海に広るモナコGPの舞台は、壮大な、そして実に上質なコンサート会場となる。ビルに反響するエキゾースト・ノート(村上龍さんは「金がかかった音」と言い切った。見事!)は、ビルだけだなら籠もってうるさくなるはずだけれど、余分な音が地中海の大海原に発散して流れだしてしまうから、綺麗な音だけがこだまして、それはそれは素晴らしい曲を奏でるのだ。

◆スタート地点の裏側に、フェラーリとホンダを扱うディーラーがあるが、そこでは、以前、シビックよりフェラーリ328の方が台数が多く出たという笑える話があった。

◆第二期ホンダF1監督の桜井淑敏さんは、「他のグランプリは、観客に見せてやっているという感じだけれど、モナコは”見ていただいている”という気分になる」と名言を残している。まさに、皇室に奴隷が生死をかけた戦いや戦車競技を見せた中世のコロシアムのように、モナコは、他のGP以上に、ヨーロッパの歴史や階級社会の流れを感じさせるレースだ。

◆モナコの表彰台は独特。唯一、鈴鹿ならフジテレビ、メルボルンならフォスタービールなどと書かれたバックドロップがモナコにはない。なぜなら、そこはモナコの大公ファミリーが鎮座するロイヤルボックスだから。平民であるドライバーの中で、活躍したトップ3だけがそこに招かれる権利をいただく。

◆アブダビGPのヤス・マリーナ・サーキットができるまでは、唯一のトンネルがあるコース(シンガポールや鈴鹿にもコースの下を潜る部分はあるが、本来の意味での”トンネル”はモナコだけ)だった。緩く右に曲がったそこを280km/hで通過する。ガードレールに囲まれたコースの中でも、特に度胸が必要だが、出口には、「時速30km/h」の制限速度を示す標識がある。全員250km/hの速度違反!?

◆チェッカーの後に、モナコ湾に停泊したヨットやクルーザーが一斉に汽笛を鳴らす。これがまた切なくていい感じ!!

◆また、モナコは、警備が非常に厳重で、F1ドライバーが住みたがるのは、税金がないという事実の他に、保安が完璧という側面もある。ただし最近は、モナコに住むのは一流ドライバーではなくなりつつある。一流は、スイスに住む。税金で有利なだけでなく、マスコミがうるさくない、という情報時代を反映した理由のために。

◆2010年の決勝で、ルーベンス・バリチェロ+ウィリアムズがコース上にあった排水溝のカバーに引っかかり、クラッシュする事故が起こった。

◆2011年は、小林可夢偉がモナコGPの日本人最高位の5位を記録。

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