ホンダのシュタイヤーマルクGP—-by山本MD&田辺TD
フェルスタッペンが2戦連続のポール・トゥ・ウイン。ホンダは、1991年以来の4連勝を果たし、レッドブル・レーシングとの通算10勝目を挙げた。
オーストリアのレッドブル・リンクで行われたシュタイアーマルクGPの決勝は、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが圧倒的なペースで優勝。チャンピオンシップでのリードを拡大した。ホンダのパワーユニット勢は、3台がポイント獲得した。
前日の予選で全員がQ3進出を果たし、セルジオ・ペレス、ピエール・ガスリー、角田裕毅がソフトタイヤ、フェルスタッペンはミディアムでスタート。フェルタッペンがポールポジション、ペレスが4番手、ガスリーが6番手。角田はグリッド降格ペナルティーで11番グリッドからレースを始めた。
スタートでは、フェルスタッペンがリードを守り、ペレスが3番手をかけてランド・ノリス+マクラーレンと争う展開。ガスリーはスタート直後のターン3へ向かうストレートで、シャルル・ルクレール+フェラーリのフロントウイングで左リアタイヤを傷つけ、パンクを喫し、1周目でリタイア。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダは、角田のみでのレースとなったが、角田は1周目で9番手までポジションをアップした。
10周を終えて、ペレスがノリスを攻略して3番手に浮上。後続にはバルテリ・ボッタス+メルセデスが迫る。レッドブル・レーシングは、26周目にペレスをピットインさせ、ハードタイヤに交換するが、作業でタイムロス、次の周にピットインしたボッタスの先行を許し、4番手でレースを進めた。
角田もペレスと同じ周回でソフトタイヤからハードタイヤに交換。トップ10圏内でレースへ復帰し、最後までこのタイヤで走りきる戦略を採った。
フェルスタッペンは、29周目にピットイン。その後、多くのトラフィックをかき分けながら、2番手のルイス・ハミルトン+メルセデスとの差を広げていきます。ペレスはボッタスの後方に迫るものの、オーバーテイクには至らず、残り17周でミディア ムタイヤに交換して、ボッタスを追撃する戦略へと切り替える。
タイヤ交換直後から、ペレスはファステストラップを記録しながらボッタスに迫った。最終ラップ直前にピットインしたハミルトンにファステストラップを更新され、1ポイント獲得はならなかったが、ボッタスを約0.5秒差まで猛追。パスす るには至らなかったが、4位でフィニッシュした。
角田は、ルクレールにパスを許したものの、終始フェルナンド・アロンソ+アルピーヌの背後に迫りながらレースを進め、10位でフィニッシュ。自身3度目の入賞を果たした。
30秒以上の大差を築いたフェルスタッペンは、2戦連続のポール・トゥ・ウインを達成。ホンダとして通算83勝目。2戦連続のポール・トゥ・ウインが1991年の日本GP-オーストラリアGP以来、4連勝は同じく1991年のアイルトン・セナ選手のアメリカ-ブラジル-サンマリノ-モナコ4連勝以来となった。
次戦は1週間後、3連戦の締めくくりとなるオーストリアGPで、今回と同じレッドブル・リンクで開催される。
ホンダF1レーシング山本雅史マネージング・ダイレクター
「レッドブルlの本拠地オーストリアのレッドブル・リンクで見事にフェルスタッペンが今季4勝目、レッドブル・ホンダとして今季5勝目を挙げてくれました」
「レッドブル・レーシングとは通算10勝を一緒に積み上げてきたことになりますが、2年前にこのサーキットで初勝利を挙げたことを思うと、非常に感慨深いものがあります」
「また、今日の勝利で連勝を4に伸ばすことができたのですが、これはチャンピオンを獲得し、我々にとって黄金時代だった1991年に並ぶ記録です。偉大な先輩たちを追いかけてここまでやってきましたが、その背中が少し見えてきたように感じています」
「レッドブル、スクーデリア・アルファタウリともに強いレースができるようになってきています。これも、2つのパートナーチームとともに、日本のHRD-Sakura、英国の拠点であるHRD-UKのメンバー全員がここまで積み上げてきた努力のおかげです。また、ここまで、苦しいときも含めて応援をいただいてき た皆様のおかげでもあると思っています。本当に、ありがとうございます」
「来週も、このレッドブル・リンクでのレースになります。今回とタイヤのコンパウンドが異なりますが、チームと一緒に万全の準備をして、またいいレースを見せられればと思いますので、引き続きのご声援をよろしくお願いいたします」
ホンダF1レーシング田辺豊治テクニカルディレクター
「シュタイアーマルクGP決勝は、ポールポジションからスタートしたフェルスタッペンがパーフェクトなレース運びでポール・トゥ・ウイン、レッドブル・ホンダが4連勝を飾ることができました」
「金曜日のFP1からマシンのパフォーマンスがよく、PP獲得そして優勝と、マックス選手、チームともに素晴らしい週末をマネージすることができました。チームメートのペレス選手は、レース序盤にオーバーテイクを見せ、5番手スタートから3番手までポジションを上げましたが、タイヤ交換でのタイムロスで後退を余儀なくされ、4位フィニッシュに終わりました。終盤、2ストップ作戦にスイッチして3位ボッタス選手を猛追したものの、残念ながら最後にわずかに及びませんでしたが、チームに貴重なポイントをもたらしてくれました」
「スクーデリア・アルファタウリ・ホンダの角田は、予選結果が8番手だったものの、3グリッド降格ペナルティーで11番手からのスタートとなり、周りの多くのマシンが新品のミディアムタイヤでスタートする中、予選で使用した中古のソフトタイヤでス タート、激戦の中段グループのマシンとの接戦の中で粘り強くレースを続け、10位入賞でポイントを獲得しました。また一つ学び、これから先につなげてくれると思います」
「チームメートのガスリーはスタート直後の接触が原因で残念ながらリタイアとなりましたが、このサーキットでは速さを見せてくれていたので、来週のパフォーマンスに期待しています」
「この優勝で4連勝となりました。本当にうれしく思っています。我々のPUもパフォーマンスに貢献できていると感じます。また来週末にこのサーキットでのレースとなりますが、各チームは今週のデータを見直してパフォーマンスアップを図ってくるはずです。我々も十分に今週の結果を見直して、再び力強いレースができるように準備を進めます」
【STINGER】
photo by Honda