ホンダ・パワーの4人のオーストリアGP
接近戦で71周のスタートからゴールまで、息もつかせない展開を見せた7月4日の第9戦オーストリアGPで、フェルタッペン+レッドブル・ホンダが3連勝を飾った。
全員がQ3に進出した予選結果から、ポールポジションのフェルスタッペンと3番グリッドのセルジオ・ペレスがミディアムタイヤ、6番手のピエール・ガスリーと7番手の角田裕毅のスクーデリア・アルファタウリ・ホンダはソフトタイヤでのスタートとなった。
スタート直後は、4台ともポジションを維持したが、1周目にエステバン・オコン(アルピーヌ)がストップしてセーフティカーが出動。リスタートで、ペレスは2番手のランド・ノリス(マクラーレン)に迫るも、ターン4で押し出されてコースアウト、10番手までポジションを落とし、ノリスに5秒のタイムペナルティーが科された。
ソフトタイヤのスクーデリア・アルファタウリ・ホンダの二人は、角田が12周目、ガスリーがその翌周にピットイン、ハードタイヤに交換したが、角田はピット入口の白線を踏んでしまい、5秒のタイムペナルティーを受け、ガスリーもピット作業に手間取ってタイムをロスを喫した。
ミディアムタイヤでスタートしたレッドブル・レーシングの2人は、32周目にピットイン。フェルスタッペンは順調にリードを拡大する一方で、追い上げを期すペレスは、ルクレール+フェラーリと激しいバトルを繰り広げ、2度の接触。この原因を作ったとして、ペレスには2度のタイムペナルティーが科され、合計10秒が加算された。
しかし、ペレスは追い上げを続け、53周目にリカルド+マクラーレンをオーバーテイク。このタイミングでピットインしたハミルトン+メルセデスの背後に迫り、4番手を目指して追撃するも、オーバーテイクには至らずチェッカーフラッグを迎え、後方のサインツ+フェラーリがペナルティの10秒差以内だったことで、6位フィニッシュとなった。
フェルスタッペンはリードを拡大し続け、残り11周、首位の座を安泰にした状態で2度目のピットイン。2番手に1.5秒以上の大差をつけるファステストラップを記録。後続に17.9秒の差をつけてチェッカーフラッグを受け、ポールポジシ ョン、優勝、ファステストラップに全ラップリードを加えた“グランドスラム”を達成した。
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダは、二人ともに2ストップ戦略を採り、ガスリーが45周目にピットイン。トップ10圏内を目指して追い上げ
。角田はその6周後にピットインたしたが、ここでもピット入口で白線をまたぎ、2度目の5秒ペナルティーを科されてポイント圏外に後退、学習能力のなさを露呈してしまった。
ガスリーは前方のリカルド、ルクレールに迫りながら9位、2ポイントを獲得したが、角田はフィニッシュ後に5秒を加算され、12位が最終結果となった。
この勝利で、ホンダはF1通算84勝目。チャンピオンシップでのリードも拡大し、ドライバーズ部門ではフェルスタッペンが32ポイント差、コンストラクターズ部門でレッドブル・レーシングが44ポイント差で首位に立った。
また、表彰台には、レッドブル・レーシングの計らいで、2019年のオーストリアGPと同様に、田辺豊治テクニカルディレクターが登壇。壇上のフェルスタッペンや、スタンドをオレンジに染めたフェルスタッペン応援団とともに喜びを分かち合った。
次戦は2週間後の7月18日(日)に決勝を迎えるイギリスGP。レッドブル・レーシングとホンダも拠点を置く今回とは別のホームグランプリであり、さらに、スプリントレース形式の予選が実施されるなど、新しいフォーマットで初めての大会となる。
マックス・フェルスタッペン/レッドブル・レーシング
Race : 1st
「ホームのレッドブル・リンクで再び勝利できて最高の気分です。いい戦いができるとは予想していたけれど、ここまでできるとは!! マシンはまるでレール上を走っているようでした。ドライブしていてとても気持ちよかったですし、どち らのタイヤコンパウンドでも素晴らしいペースでプッシュすることができました。タイヤのケアも思い通りで、一周ごとに差を広げていけました」
「先週のレースから学び、セットアップを向上させることでマシンの最適 化を進めることができました。どんな言葉で表せばいいのか分からないほど、ドライビングが楽しめましたし、レースウイークもベストな形で進んだので、これを続けられるように願っています」
「チームのみんなが最高の形で報われたと思いますし、 ホンダを代表して田辺さんがポディウムに立ったこともとてもよかったです」
「ファンのみんなも最高でした。グランドスタンドがオレンジ色で染まる光景と、サーキットに人が戻ってきてF1を楽しむ姿を見られたのは素晴らしいことです。こ れからも多くのレースがありますし、次のシルバーストーンでは、普段と異なるスプリントレースが行われるのも面白くなるはずですが、こうした形のレースは頻繁にできるものではないので、み んなで勝利を喜ばね!!」
セルジオ・ペレス/レッドブル・レーシング
Race : 6th
「今日はあまり満足できていません。4周目にランド(ノリス/マクラーレン)をアウト側から抜こうとしたのだけれど、コース外へ押し出されたことで、ボクのレースは終わってしまったようなものです」
「シャルル(ルクレール/フェラーリ)との接触については、2度目の方はっきりしていますが、両方ともボクの方が前に出ていたように感じます。状況を見直してみなければいけないと思うので、今はコメントが難しいです。2度目のターン6では、ブレーキングをできる限り遅らせて、前のマ シンの乱気流で、タイヤが消耗していたこともあってリアを失ってしまいました」
「こうしたレースのやり方が好きではないし、シャルルのレースに影響を与えてしまい、とても申し訳なく思っています。 他のドライバーのレースを犠牲にしてしまった自分自身に満足できません。ただ、マックスやチームのみんなのことはうれしく思っています。レッドブル・リンクでのホームレースでポイントを重ねられたのは素晴らしいです。ボクらは前を向いて次のシルバーストーンを楽しみにしています」
ピエール・ガスリー/スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ
Race : 9th
「想像していた以上に厳しい戦いだったけれど、ポイント獲得を継続できたのはいいことです。2ストップ戦略の利点がもっとありましたが、レース序盤で履いたソフトタイヤで、予想以上に苦戦しました」
「中団勢の中で上位に 立てるように戦い続けますが、今日はグリッド以上の順位でフィニッシュできなかったことが残念です。今夜すべてのデータを見直して、大好きなシルバーストーンに目を向けていきます」
角田裕毅/スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ
Race : 12th
「今日はボクにとっては難しい一日になりました。レース中のペースに苦しみ、タイヤマネージメントはとても難しかったです」
「予選がよかっただけにフラストレーションがたまりますが、気持ちを切り替え、今日の課題を振り返る必要があ ります。次のシルバーストーンで同じミスを繰り返すことがないようにしていきます」
F1GP第9戦オーストリアGP結果
1. フェルタッペン+レッドブル・ホンダ
2. ノリス+マクラーレン
3. ハミルトン+メルセデス
4. ペレス+レッドブル・ホンダ
5. ペレス+レッドブル・ホンダ
6. サインツ+フェラーリ
7. リカルド+マクラーレン
8. ルクレール+フェラーリ
9. ガスリー+アルファタウリ・ホンダ
10. アロンソ+アルピーヌ
11. ラッセル+ウィリアムズ
12. 角田裕毅+アルファタウリ・ホンダ
13. ストロール+アストンマーチン
14. ジオヴィナッツィ+アルファロメオ
15. ライコネン+アルファロメオ
16. フェッテル+アストンマーチン
17. ラティフィ+ウィリアムズ
18. シューマッハ+ハース
19. マゼピン+ハース
—-以下、リタイア
オコン+アルピーヌ
[STINGER]山口正己
photo by Honda