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GPホットライン 09-08 イギリス

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すでに”ブロウン退屈症候群”の時代は終わった!? ポールポジションからスタートしたフェッテル+レッドブルが、完璧なレース。イギリスGPは今年初めて、バトンがいない表彰台になった。クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとスティンガー編集長が、イギリスGPの裏舞台をズバリ診断する。

シリーズの展望を変えた? レッドブルのワンツー!
羽端恭一(以下、羽端)やったー、レッドブル、完勝! これでシリーズがおもしろくなる!
[STINGER / 山口正己](以下、[STG]) ありゃ冷静な羽端さんにしては珍しく(笑)。

羽端 はい!(笑) 前回に、フェッテルに3連勝くらいしてもらってとか、そんなこと喋ったと思うけど、やっぱりスポーツは「独走」よりも「VS」(ヴァーサス)がいいですよ。
[STG] そうですね、私も”ブロウン退屈症候群”(笑)とかいってましたからね。

羽端 その昔、マクラーレン・ホンダのセナやプロスト、最近ではシューマッハが連戦連勝していたことがありましたね。
[STG] ウィリアムズ・ルノーが勝ちまくり、というパターンもあった。

羽端 レースって、とてもシビアな”力関係”だと思うので、たまたまとかフロックというのは、まず、起こらない。それはわかってるつもりなんだけど、でも、あまりにカンタンに独走されてしまうと、「おう、またかよ?」という感じに、ね。
[STG] でも、たとえばセナ・ファンにとってみると、予定通りに退屈なスタートからセナがぶっちぎりというレースが、「最高!」ってことでしたから(笑)。

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羽端 わはは……(笑)。それとね、個人的な意見ではありますが、ブロウン・グランプリというチームを、どうもビミョーに”愛せない”という部分があって……。
[STG] ほほう、それは?

羽端 前回でしたか、ホンダは理由はともあれ、F1を”放りだした”という話しをしてもらいましたよね。
[STG] ええ、いってみれば、彼らは”逃亡者”ということになります。

羽端 「F1側」から見た場合には、そうなんでしょうね。そういう意味では、彼らホンダは、あるソサエティに多大な迷惑をかけたんだ、と?
[STG] たとえば、テレビの放映権は、10チーム20台がいて契約が成立しているわけです。そこから自分の都合で、いや、状況が状況なので、その判断が間違っているとは思いませんけど、残された方にしてみれば、冗談しゃない、ってことになります。一緒に支えていくのが、場に対する関係者の義務じゃないのか、みたいな。

羽端 それは、その通りだと思います。ただ、ひとりのニッポン人という立ち位置からすると、この「2009年のF1シーン」を走っている、あの”白いクルマ”というのは、そりゃノウハウはすべて「ロスのもの」かもしれないけど、でも、それを支えた「資本」はジャパン・マネーというか、ホンダからでているものだと思う。
[STG] 「資本」という意味ではその通りのようです。某H社が今年の活動資金を提供している、という話も聞いています。でも、仮にホンダが残っていたら、今年のような活躍はできていない、というのが私の意見です。

羽端 ……そうね、ホンダ車だったら、ムリヤリに KERS つけて、大失敗してるかもしれない?(笑)
[STG] 多分。撤退を発表する直前まで、KERSはかなりの自信作だと言ってましたから。それに、指揮系統も現状のようにシャキッとできたとはどうも思えない。

羽端 ひとつだけ、この件について最後に”センチメンタルなこと”(笑)を付け加えたいんですが、せめて、2009年のこの1年くらいは、ロス・ブロウンは、たとえば「BHレーシング」とかいう名前で、レースをしてほしかった……。
[STG] それって、もしかして、「ブロウン・ホンダ・レーシング」? おお、あり得ない!

羽端 ……でしょうけどね、センチなニッポン人でスミマセン!(笑)
[STG] 羽端さん、「F1は軍人の闘いだ。民間人では勝てない」って言ってなかったでしたっけ? センチメンタルは分かるけど、自分勝手にやめてしまった、という点で、ホンダは小さくない負い目を背負いこんだと思います。都合のいいときだけ参加して、都合が悪くなんたらサヨウナラってのは、F1村の人たちから見れば、あり得ないことですから。

◆本領発揮のレッドブル、ストラテジーのブロウン
羽端 ところでイギリスGPでレッドブルは、クルマがすごくよくなっていた? それとも、シルバーストーンは、レッドブルの欠点がでにくいサーキットだった?
[STG] ブリヂストンの浜島さん(裕英モータースポーツタイヤ開発総括責任者)は、常に客観的に冷静な観方をする人ですが、その浜ちゃんが、木曜日の段階では、「細かい(低速の)セクターでタイヤへの攻撃が大きいことが心配」と言ってたけれど、予選が終わった後は、「そこもリカバリーちゃったかも」と言ってました。で、その通りだったですね。

羽端 日曜日の直前コメントでも、レッドブルの2台だけは、ハード・タイヤが温まりにくいという問題がない(!)とコメントしてましたね。
[STG] だから、マジで進化したのだと思います。

羽端 俯瞰してみると、いまの状況としては、ブロウンの”伸びしろ”よりも、レッドブルやウイリアムズのそれの方が大きかった、ということかな?
[STG] 特にレッドブルが、言ってみれば”本来の力を出せた”ということだと思います。元々に設定したレベル、彼らはよく”aim”という単語を使うけれど、そこに向かって、本来持っている性能が出せている、ということです。つまり、想定しているマシン・ポテンシャルのレベルが高くて、その分、最初は整合性を合わせられないけれど、だんだん使い方がうまくなる、みたいなことです。

羽端 なるほど。でも、ブロウンも、開発が止まっているはずはないですよね。
[STG] こう考えるのが正しいと思います。ブロウンの強さは、マシンがスグレているのではなくて、手持ちの道具を一番うまく使っている、と。

羽端 そうか、作戦参謀は、
あのロス・ブロウン!
[STG] 新たな、それも大きく変わった車両規則に対して、手堅いマシンを欲張らずに作り上げた。設計段階からの”エンジニアリング”の勝利、というわけです。だから、トルコのゴール後にバトンの無線にエンジニアが「アンビリーバボー!」と叫んだのかな、と。

羽端 お〜! このクルマで勝ってしまった、俺たちって! ……と、そんな感じだったのかな?
[STG] 他が追いついてきて切ることを冷静に理解していた、ということだ思います。

羽端 ルーベンス(・バリチェロ)は、多少クルマがヘンでも(笑)速い? 条件が整わなくても速いというのは、”史上最高のナンバー2ドライバー”の真価とかいってみたくなるけど?
[STG] どうでしょうね。ここ数戦、表彰台に乗っても、表情が全然明るくない気がします。明確にバトンと差がついている。少なくとも、チームの待遇がバトン寄りなことに不満があるんじゃないかって気がします。今回のレース後の会見でも、ウェーバーは、まぁ、あまり表情を変える人ではないけれど、フェッテルが一生懸命健気な元気さを見せいてる隣で、バリチェロの顔からはツヤとかハリとかが感じられなかった。もしかすると、こういうところもブロウンのポテンシャルにブレーキをかけることになりそうな気がしてます。

◆一貴が教えてくれたF1の”深さ”
羽端 ところで一貴は……? グリッド5位だったのに?
[STG] 今回は、彼にF1の深さみたいなことを教わりました。

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羽端 お、というのは?
[STG] ゴルフと一緒の話。

羽端 え?!(笑)
[STG] まず、1打目のボールをどこへ置くか。レースでいうと、予選Q3でのミスですね。予定通りの2周で予選アタックが済んでいれば、最初のピットインまでに1周余計に走れたと、彼は冷静に自己分析してました。

羽端 そうか、Q3にまで行ったマシンは、予選後は、スタートするまで給油できないですからね。
[STG] で、ここはテレビでもいわないところだけれど、争っている2台は、”先にピットに入った方が負け”なんです。

羽端 え、どうして?
[STG] たとえばA車とB車が1分30秒で周回していたとします。ピットインすると、停止時間とピットロードの低速区間で合計30秒のロスがあるとする。で、先にピットインしたクルマは、当然重い燃料を積んで、タイヤも新しくてなじんでいないから、1分30秒では次の周を走れない。ここが問題です。

羽端 うん、いわゆる”アウト・ラップ”の辛さってやつですね。
[STG] というか、もっと単純な計算です。これはどんなに優秀なドライバーであっても、……。

羽端 あれ? だけどさ、それだけで、「負け!」というところまで行っちゃいますか?
[STG] ……というのは?

羽端 だって、A車がピットアウトしてからの(アウトラップの)が、ライバルB車に対して、5秒遅かったとします?
[STG] フムフム。

羽端 15周目にピットに入ったとして、16周目は、そういう風にA車は遅かった。
[STG] そうなりますね。

羽端 でも、16周目には今度はB車がピットインする。そして、Aと同様に、次の周のタイムが落ちる。だとすれば、AとBは、同じところを走ってることにならないですか?

[STG] 計算上ではそうですが、先にピットに入ると、ピットでのロス=30秒+次のラップが5秒遅くなるとして1分35秒、合計2分05秒で次の周のピットの出口に差しかかります。これに対して、後でピットインした方は、1分30秒+30秒で、合計2分後にピット出口にいることになりますね。

羽端 なるほど、だから後から入った方が、ピット出口で前に出る計算になるのか。
[STG] 後からピットに入る方は、フィニッシュまでの周回が少ないから、燃料を入れる時間も短いし、その分軽いので、さらに有利なわけです。抜けないコースだと、この1周が致命的になるわけです。
[STG] それで、イギリスでの一貴に話しを戻すと、予選のQ3のミスで1周余計にアタックしたとき、「良いタイムが出たから良いじゃないの」とこちらは思ったけれど、そうじゃなかった。

羽端 なるほど、土曜日に、いわば”打たされてしまった”その「1打目」ということですね。
[STG] そうです。グリーン周り以前の問題として、1打目を何処に打つかによって、スコアが違ってくる。ゴルフと一緒ってこと。彼は、瞬間的にそういうことが判断できるし、レースをよく分かっているな、と。頭の回転が素晴らしく速い。

羽端 「すべて」がうまく行かないと、いい結果にならないというのは、そういうことなんですね。
[STG] ……です。改めて、F1の深さを、一貴に教わった気がしました。

羽端 うむ、こんなこと、テレビでは、絶対いってくれない!(笑) CXよりスティンガーだぁ!
[STG] そうなりたいですね。いや、それを伝えるのが役目なので、これからも一貴に注目してたくさん教えてもらわなくちゃ(笑)。

羽端 あ、テレビ問題になると、止まらなくなりそうなので、今回は、これにて自粛しておきます(笑)。いずれ!

[STG]そうしましょう(笑)。

【GPホットライン バッキンガム 〜 西湘】

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