F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集

F1/モータースポーツ深堀サイト:山口正己責任編集 F1 STINGER 【スティンガー】 > F1ニュース >   バトンの11位は現状で最良の”結果”である!!

F1ニュース F1の動向が一目でわかる新着ニュースや最新トピックを随時更新。

バトンの11位は現状で最良の”結果”である!!

20150316バトン-佳苗.jpg
予選後の2009年ワールドチャンピオンのバトン(右)。2015年ルックは鼻の下のお髭。「時間がかかる」と覚悟のコメント。

オーストラリアGPでデビューしたマクラーレン・ホンダは、波瀾のレースを11位で乗り切った。

レース終盤、ライコネン+フェラーリのリタイアで一時10番手に上がったときは、若干いやな感じがした。このままゴールすると『入賞』だからだ。

何を言うか、入賞はメデタイではないか、という声も聞こえる。しかし、現状で入賞したら、またぞろなにか誤解が広がりそうな気がしたのである。 翌日の新聞は、”ホンダ、デビュー戦で入賞!!”とタイトルを着けそうだ。間違いではないが、事実と少し違う状況が伝わる。

最もマズイのは、そういう情報では、F1GPのクォリティ感が伝わらず、それでは、いつか勝利を上げたときに、その重みが伝わらないからだ。

ところで、F1GPの入賞は、2002年までは6位までだった。それが2003年に8位までになり、2010年には10位までになった。私はこれをF1のバーゲンセールと呼んでいる。

なぜ、ポイント制が変わったか。2003年がどういう年だったかを考えると、とあることを思いつく。2002年はトヨタがF1に参入した年である。

デビューの年、ポールリカール・サーキットで行なわれたトヨタのお披露目会に列席したFIAのマックス・モズレーFIA会長は、「トヨタのような企業に、F1GPを選んでいただいてたいへん光栄です」というようなあいさつをした。聴いていて若干背筋が寒かった。

モズレーさんが、FIA、つまり国際自動車連盟というポジションの自分たちよりトヨタが上だなどと思っているはずがないからだ。要するに、揉み手をして、新参の”お客様をお迎えした”。ひねくれ者にはそう映った。

そして、トヨタが参入した2年目に、ポイントが8位までになった。偶然にしてはできすぎだ。ここでまたひねくれ者は、こう考えた。トヨタが”入賞できるようにしたのではないか”、と。

2002年のトヨタは、ミカ・サロが2回、6位に入賞した。得点は2点だけだった。しかし、入賞が8位までになると、”トヨタの入賞”は、サロ5回、アラン・マクニッシュ2回で一気に7回に跳ね上がる。

2000年からF1に復帰していたホンダも同じようなものだった。

日本の本社に、どっちがいい感じに伝わるか。8位までの方がいいに決まっている。トヨタとホンダの引き留め工作のために、FIAは入賞を8位までにした、と考えてどこかいけませんか?

バトンの11位に話を戻そう。今では10位までが”入賞”である。入賞の重みが、全くもってバーゲン状態。10位にどんな価値があるというのだろうか。しかし、リリースに”入賞”と書けること、これは、担当者がサラリーマンなら、そして上司がそうした機微というか、本質をご存じなければ、まことにありがたくも便利な変更である。

しかし、その重みがわからないままで”入賞”を続けたとしよう。安売りバーゲン品に、誰が価値見いだしてくれるだろうか。

インスタントエンターテイメントが流行るのはわかるが、重みを伝えるべきものもある。クルマそのものも、そしてモーターレーシングになるとはるかに認識の文化水準が低くなってしまう日本だが、自動車が基幹産業である。そのことを考えると、「10位入賞」にならなくて本当によかったと思ったのである。

[STINGER]山口正己
photo by STINGER
記事が役に立ったなと思ったらシェアを!

F1 最新レースデータ

F1 ポイント・ランキング

F1ドライバーズ・ポイント
1位マックス・フェルスタッペン491ポイント"
2位セルジオ・ペレス240ポイント
3位ルイス・ハミルトン220ポイント
F1 コンストラクターズ・ポイント
1位レッドブル・レーシング860ポイント
2位メルセデス409ポイント
3位フェラーリ406ポイント

PARTNER
[協賛・協力企業]

  • CLOVER