12月のタイヤテストでできることとできないこと
フェラーリの浜島裕英エンジニアにできることとできないことを伺った。
12月17日(火)〜19日(木)まで、バーレーンで、2014年のピレリ・タイヤのテストが行なわれることになった。FIAが規則を変えて急きょ追加したもの。テストで使えるのは、2013年シーズンに使われたものになるという。
参加チームは、現在6チームだが、今後増える可能性もある。
しかし、2014年から、車両規則が大きく変更されることは、誰でも知っていることだ。まったく異なるマシンでテストになるの? という疑問が沸く。
そこで、元ブリヂストンのタイヤ・エンジニアとして活躍の後にフェラーリでビークル・ダイナミクス&タイヤエンジニアに就任して、現在スクーデリア・フェラーリで活躍中の浜島裕英エンジニアに、できることとできないことを伺った。
<古いマシンでもできること>
2013年の2.4リットルV8エンジン車を使うテストで、2014年の1.6リッターのターボ+エネルギー回生システム付きのシーズンに向けてできることは、存在する。
まず、タイヤの基本的なハンドリング特性の検証。これは、大きく重量が変わったりしない限り、大方のデータ収集が可能だ。また、会場となるザヒール・サーキットで行なわれた今年のバーレーンGPのレース時のグリップレベルの対比と、耐摩耗性の基礎データも行なえる。当然、2013年車でのタイヤの耐久レベルの確認も可能だ。
<異なるマシンではできないこと>
マシンの状況が変わってしまうと、確認ができないことも当然出てくる。まずは当然のことながら、2014年車でのタイヤの正確な耐久レベルを計ることは不可能だ。
浜島エンジニアはその理由を、「車両の重量配分やダウンフォース・レベルは合わせられますが、エンジンのトルクは合わせることができないので、この部分は難しいでしょう」とコメント。
「予選で(エンジンを)ハイトルクで使う部分の評価が一番困難なのではないかと考えられます」とのこと。
そして、「ただし、室内評価である程度のことはできると思いますが」と解説してくれた。
要するに、タイヤにかかる加速領域でのタイヤの磨耗やその傾向は、クルマが違ったら計測付不可能、ということになる。しかし、「室内評価である程度のことはできると思う」というコメントは、微妙なニュアンスを含んでいる。
「ある程度」、という言葉の裏には、現在のシミュレーション技術の進化を認めた上で、実際には走って確認したい、というエンジニアの本音もチラリ。
いずれにしても、このテストは、新型車両を使うテスに向けて、少なくない課題を収拾するものになりそうだ。
ちなみに、来年のバーレーンGPは、ナイトレースとして行なわれることが決まっており、その先行テストの役目もすることになりそうだ。
[STINGER]山口正己
Photo by Ferrari S.p.A