テストデータから、勢力図を読み解く(1/3)
◆6チームのチームメイト同士が僅差で並んだ!!
2月1-3日のバレンシアを皮切りに、ヘレス、バルセロナと、3回合計11日の合同テストが行われた。そのうち雨が2日あったが、各チームはかなりの距離を消化した。中でも、フェラーリは、F.アロンソとF.マッサの二人で合計435ラップを消化して、他のチームの走行距離を圧倒した。これは、データを最も豊富に集めたことを意味し、さらにF.マッサが、最後のバルセロナ・テスト最終日をトップで締めくくっている。まずは、フェラーリ有利というのが、現在の”流れ”といっていいだろう。
下の表は、今回のバルセロナテストの総合ベストタイムを並べたものだ。実際の所、毎日、天候も違い、ベストタイムを記録した日程や時間帯も違うため、厳密な意味でこのベストタイムを比べてもナンセンス。ただし、今回は、興味深い見方ができそうだ。
まず、注目すべきは、S.フェッテルとM.ウェバー、J.アルゲルスアリとS.ブエミ、R.バリチェロとP.マルドナド、小林可夢偉とS.ペレス、J.トゥルーリとH.コバライネン、G.ドアンブロシオとT.グロックと、実に6チームのチームメイトが非常に近似のベストタイムで並んでいることだ。
実際には、KERSを使っているかどうか、リヤウィングをどう作動させているのか、どのタイヤを履いているのかなどの条件は違うはずだが、にも関わらず、同じタイムが記録されている。これは何を意味するのかといえば、タイムが、そのマシンが発生するダウンフォースの量によるものである、と仮定することができる。
実際、23秒台のタイムは、ソフトかスーパーソフトを履いて、軽めの燃料搭載量ではないと達成できない。この状況からして、タイムが拮抗して並ぶというのは、絶対的なグリップの差、つまり車両固有のダウンフォース発生の量と考えられる。
ドライバーの質として、アロンソ、シューマッハー、ハイドフェルドはそれぞれ、マッサ、ロズベルグ、ペトロフとして同等のスピードを持っていることになる。逆に、そうでなければ、チームは困る。
どちらのドライバーでも速いということから、バルセロナが終わった状態で、スピードの順列はフェラーリ→メルセデス→レッドブル→黒ロータス→トロロッソ→マクラーレン→ウィリアムズ→Fインディア→ザウバー→緑ロータス→ヴァージン→HRTということになる。
実際、そうである可能性は高い。ただし、である。ロングラン・パフォーマンスとなると話は違ってくる。
(2/3につづく)
◆バルセロナ合同テストラップタイム比較(それぞれの担当日のベストタイムと自己ベスト)
1.マッサ+フェラーリ 1’26″508(123) 1’22″625(121) 1’22″625
2.ロズベルグ+メルセデス 1’24″730(131) 1’23″168(92) 1’23″168
3.フェッテル+レッドブル 1’24″374(37) 1’23″315(104) 1’23″315
4.ウェバー+レッドブル 1’24″995(139) 1’23″442(69) 1’23″442
5.ペトロフ+ルノー 1’35″174(20) 1’26″884(61) 1’23″463(93) 1’23″463
6.アルゲルスアリ+Tロッソ 1’25″638(57) 1’23″519(97) 1’23″519
7.ブエミ+トロ・ロッソ 1’26″155(31) 1’23″550(90) 1’23″550
8.ハイドフェルド+ルノー 1’44″324(27) 1’24″242(41) 1’23″657(95) 1’23″657
9.ハミルトン+マクラーレン 1’23″858(93) 1’24″003(107) 1’23″858
10.アロンソ+フェラーリ 1’25″485(101) 1’23″978(90) 1’23″978
11.バリチェロ+ウィリアムズ 1’26″912(52) 1’24″008(118) 1’24″008
12.マルドナド+ウィリアムズ 1’24″815(60) 1’24″057(121) 1’24″057
13.スーティル+Fインディア 1’25″720(102) 1’24″177(64) 1’24″177
14.小林可夢偉+ザウバー 1’25″641(78) 1’24″243(125) 1’24″243
15.ペレス+ザウバー 1’25″557(115) 1’24″515(74) 1’24″515
16.バトン+マクラーレン 1’26″365(77) 1’24″923(54) 1’24″923
17.ディレスタ+Fインディア 1’26″575(26) 1’25″194(80) 1’25″194
18.トゥルーリ+ロータス 1’25″454(48) 1’29″992(18) 1’25″454
19.コバライネン+ロータス 1’30″065(54) 1’26″421(58) 1’26″421
20.ドアンブロシオ+ヴァージン1’30″950(116) 1’26″501(50) 1’26″501
21.グロック+ヴァージン 1’27″242(66) 1’26″598(97) 1’26″598
22.リウッツィ+イスパニア 1’27″044(70) 1’27″044
23.シューマッハ+メルセデス 1’27″512(90) 1’27″079(114) 1’27″079
24.モンディーニ+イスパニア 1’28″178(39) 1’28″178
25.リチャルド+ Tロッソ 1’28″329(42) 1’28″329
26.カーティケヤン+イスパニア1’28″393(116) 1’30″722(32) 1’28″393
27.ティシエラ+ロータス 1’31″584(26) 1’31″584