可夢偉見参! ザウバー会見全録 1/4
1月31日にスペインのバレンシアで行なわれたBMWザウバーの発表会の会見。ドライバーの小林可夢偉とぺドロ・デ・ラ・ロサが、現在の心境と抱負を語った。
–ペドロに質問です。F1ドライバーに復帰したその気分と、こうして自分の国で新しいマシンの発表があることについてはどういう気持ちですか?
ぺドロ・デ・ラ・ロサ(以下ぺドロ) 僕にとってF1ドライバーになるのは3回目。デビューと、マクラーレン、そして今回。もちろん素晴らしい気持ちだけど、カムバックしたことだけでなく、こんな素晴らしいチームでF1に復帰できたことが嬉しい。僕のキャリアではこういったオファーをありがたく受け止める時期にきているし、こういったことが可能となったことについてマクラーレンにも感謝している。モチベーションを上げて、精一杯取り組むことを約束するだけだ。
–今シーズンの目標は?
ペドロ まだマシンを運転する前だからね。マシンの状況もわからないし、どのぐらいの期間でマシンに馴染めるかもわからない。また、現在のこのチームのパフォーマンスが、他のチームと比べてどのレベルにあるかもわからないし、シーズン中にどれだけの進化ができるかも見えていない。だから心配事もあるが、個人的には常にポイントを獲得するような結果が残せると思っている。
–カムイ、初のF1フル参戦はどのような気持ちですか?
小林可夢偉(以下可夢偉) 僕にとって新しいチャレンジだ。十分な準備をして臨むことができている。去年参戦した2戦では時間もなくテストもできなかったけれど、今回は時間があるからテストもできるし、マシンの進化にも取り組めている。さらにペドロには豊富な経験もあるし、僕は今年F1で素晴らしいレースができると思っている。
–目標は?
可夢偉 ポイントを取り続けるのが僕にとってもチームにとっても最重要項目だが、ペドロが言うようにまだ何もわからない。でもこの目標は実現可能だと思っているよ。
–ペドロ、マクラーレンとの契約の中で、テスト・ドライバーとして素晴らしい仕事をされてきたと思いますし、金銭的にも満足のいくものだったでしょう。その中でマクラーレンに別れを告げ、ドライバーとして復帰するのは難しいことでしたか? それともレーシング・ドライバーとしてレースに出ることの意義が優先した?
ペドロ レギュレーションが変わっていることもあって、このチャンスを逃すとこの先復帰することはないだろうというのは明白だったんだ。テスト・ドライバーでありながら、実際はマシンをドライビングする機会は多くなく、それは精神的にも苦しいことだった。僕が本来したいことではなかったからね。僕はいつでもマクラーレンに対して誠実であったし、またマクラーレンも僕に対して誠実だった。だからいつでも起こりえる状況を伝えていたし、ドライバーに復帰することが決まってからも全てがスムーズに運んだ。マクラーレンに在籍していたことで僕はドライバーとしてより完全なものに近づくことができたし、今回の移籍についても彼らの対応に感謝している。レギュレーションも変わって、もうテスト・ドライバーでいる異議はない。僕にはレースに戻るしかないんだ。
–ペドロ、先ほどあなたは継続してポイント獲得ができるとの意向を示しましたが、このチームはもはやBMWの後ろ盾をなくし、先ほどザウバーが認めたようにスポンサー獲得など経済的にチームを支えることに苦労している状況です。こういった状況を見ると、シーズン中の進歩やアップデートは思うように行われない可能性もあるかと思いますが、それでも本心で、ポイントを獲得し続けることができると思いますか?
ペドロ もちろん、シーズン中のマシンのアップデートの頻度や程度は現在まだわかっていない。同様にマシンがどれだけ速いかもまだわかっていないんだ。だけど、僕には大丈夫だという感覚があるんだ。マシンを見たとき、チームを見たとき、そのパッケージを見たとき、僕のカンができるといっている。シーズンが始まってみれば僕のカン以上のものが生み出されるかもしれないし、そうでないかもしれない。だけどあなたの言うように、シーズン中の開発は欠かせないことだ。そしてそれについては僕がコントロールできるところではないし、多くは言えない部分だ。それはペーター(ザウバー代表)に任せるさ。
–マクラーレンでは多くのテストをしてきたわけですが、それらの経験のどれだけをこのチームにフィードバックできると考えていますか?
ペドロ わからないな。まずは彼らと共に仕事をはじめてみなければなんともいえない。個人的にはチームにとって大きな助けになるスキルが自分にあると思っている。僕はマシンの弱点や欠点を見つける能力が高い。それがテスト・ドライバーの仕事だったからね。その弱点・欠点に対する解決策を導き出すことはできないが、僕のこの能力はチームの開発にとっていい助けになると信じている。