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F1GP史上最高の表彰台!! / ホットライン 2015 round17

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23年ぶりの高地メキシコシティのレースは、コースのシチュエーションが観客と一体になったドラマを演出し、心に残るレースとなった。

クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が、復活した熱戦を振り返り、今後の展開をズバリ診断する。


◆素晴らしいメキシコのファン、表彰台の演出も見事! 

端:今週は北米大陸シリーズの第二戦、テキサスにつづくメキシコ戦ということで。
STG:ですね。アメリカ・ラウンドは時差がたいへんで(^^ゞ 。今回も、15時間ですから。

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羽端:メキシコといえば、60年代にホンダが初めてF1で勝った、その印象が強いんですが、その同じサーキットでやってたんでしょうか?
STG:同じ場所です。もっとも、いろいろ補修され、今回は例の”近代サーキットの名工”ヘルマン・ティルケさんが手がけました。名工って、まぁ、いろいろお上手、ということですけど(^^ゞ 。

羽端:ははあ、あのティルケさん。富士をモディファイしたのも、たしか彼だったですよね。
STG:そうそう、改修という意味では、富士とメキシコの他に、スペインのカタルニアとか、ホッケンハイムもティルケさんですね。

羽端:あんまり「サーキット名」が言われなかったという感じがあって。イタリアならモンツァとかブラジルならインテルラゴスとか、そういうふうに特定しますけど、今回は「メキシコ」だけだったような? 一つしかないんですかね、国際レースができるようなサーキットは?
STG:聞いたことがないですね。勉強不足かもですけど。

羽端:60年代の場合は、標高の高さを利用してホンダ陣営は・・・・とか、いろいろ伝説がありましたけど、今回は、そうした伝説を作ることもなく・・・・。
STG:当時は情報が少なかったこともあって、隠れた伝説がたくさんありますからね。監督の中村良夫さんがロケットエンジンや零戦の経験から、高高度の気圧状態でのエンジンに詳しかったことが、もともとパワフルだった1500ccV12のメリットをさらに大きくした、というような。

羽端:メキシコは、たしか1500ccエンジンの最後のレース。
STG:ですね。その最後に勝ったことで、金食い虫のF1、副社長の藤沢さんは、”創業者の道楽”と言ってたみたいですけど(笑)、勝ったからやめられると思ったそうですが、ところが(笑)。

羽端:ん?(笑)
STG:その創業者である宗一郎さんは、ますます燃えちゃって、”行け、行けっ!! 家でもなんでも売っちまえ”と言ったとか言わないとか(笑)。

羽端:ハハハ!(笑)
STG:その辺りの物語りを本にまとめているところです(笑)。

羽端:お〜、それは楽しみです!
STG:来年の2月をお楽しみに(笑)。

BY-HONDA (2).jpg

羽端:さて、今年のメキシコに話を戻せば、ストレートが遅かったと、バトンは言ってましたね。でも、サード・セクションだったかな、低速のところはよかったとも。
STG:そうなんですね。ということは、シャシーは悪くない、と。

羽端:あらためて、どういうコースであれば、いまのマクラーレン・ホンダは戦闘力があるのか。それがよくわかった感じがあります。ジムカーナみたいなコースだったら(笑)いいのかもしれないな。
STG:ジムカーナは大袈裟。それに、ジムカーナを下に見ているフェアじゃない意見ですよ(笑)。

羽端:いや、もちろんジョークです(笑)。ジムカーナはジムカーナで、また、プロの世界があるので。つまり、平均車速が低いところといった意味ですけどね。
STG:パワーユニットがものをいう長い直線を含んだり高速コーナーがあるところで力不足、トリッキーなワインディングならそこそこいける、ってとこでしょうかね。

羽端:そういう(チーム&マシンの)キャラがわかったところで、でも、あと数戦しかなく、今年も終わってしまうので、あまり意味もないんですが(笑)。
STG:キャラクターというか(笑)。まぁ、今回のコースレイアウトは、ハナから難易度が高いことは分かっていましたから。でも、次のブラジルはチャンスありかも。比較的トリッキーなコーナーが多いので。

羽端:なるほど。
STG:次を楽しみにしておきましょう。

羽端:でも、メキシコのお客さんは凄かったなあ! モンツァかここかって感じですよね、熱狂度でいうと。
STG:観客もよかったし、苦肉の策だったらしいけれど、最終コーナーが速度が高すぎて使えないことから変更した、野球場を利用した最終のスタジアムセクションが素晴らしかった。

羽端:そうそう、隣接の野球場をうまく使ったみたいですね。だから(レース後に)あんなに人がいっぱいいた?
STG:あの表彰台は、多分いままでで最高だったと思います。モンツァのコースにせりだした表彰台もエモーショナルだけれど、メキシコのアレシンは、風物詩になりますね。

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羽端:あのテンションを見てると、ペレスがいなくても、あんまり変わらなかったんじゃないか、とか?
STG:いや、”場の高揚感”という意味で、ペレスの存在は不可欠だったと思います。全体を抱えた数本の太い柱のうちの1本だったと思います。

羽端:だから、来年もここでやった方がいいと思う。
STG:本当に!! 表彰台でのニコ・コール、あれはモンツァ以上でしたから!!

羽端:一年後には、舗装も落ち着いて、路面状況ももっとグリップするようになって、レースがよりおもしろく・・・・?
STG:う〜ん、それはどうかな。落ち着くと反対に、安定しちゃって面白くなくなる傾向かも。フェラーリの二人がクラッシュしたのは、攻めすぎという意見もあるけれど、多分ほとんど不安定な路面のせいではないかと思うので。

◆表彰台での「帽子」を考える

羽端:そういえば、ロシアからかなあ? 表彰台でトップスリーがその国特有の帽子を被ってみせるというパフォーマンスが始まったのは?
STG:ロシアでは、ウシャーンカというらしいですけど、アメリカではカウボーイのテンガロンハット。

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羽端:テンガロン・ハット、テキサスには似合いますね。・・・・で、今回はソンブレロで。
STG:ウィットがあっていいですね。

羽端:じゃあ鈴鹿でも何か被らせようという声があるようですが、でも、ちょっと考えてみたんですけど、日本にはどうも適切な帽子がないみたいで?
STG:そりゃ兜でしょ。

羽端:武将が着けるやつ? あれだと豪華すぎて、それに重すぎないですか?
STG:ひょいっと投げられないし?(笑)

羽端:そうそう!(笑)もうちょっと、みんなが被っていて、そして気軽なものでないと。
STG:三度笠?

羽端:三度笠ね。ただ、顔が隠れてしまうんじゃないかな。それにあれ、世を忍んで……という人たちが被るのでは?
STG:あ、そうなんですね?

羽端:映画なんかでは、そういう設定になっていたような。それで、田植えの時に、瑞穂の国の民が被る笠もあるけど、その笠だとちょっとエリート性がなくて。
STG:というと?

羽端:ロシアのあの帽子って、時の大統領が公的な場所で被って見せたりするでしょ。でも、日本でも東北アジアでも、田植えのあの笠は権力者は被らないと思う。人民というか一般人用で、昔の戦争でも「陣笠」は一般兵士が被ってた、指揮官じゃなくてね。
STG:なるほどね。

羽端:たとえばサッカーの観客席で、その帽子があると「あ、ナニナニ人のサポーターだな」ってわかる。そういう帽子って、日本にはどうもないような? だから、サッカーの国際マッチの応援でも、日本のファンの場合は無帽なんでしょう。
STG:やっぱりちょんまげ(笑)。

羽端:サッカーでは、時々それをやってるようで(笑)。・・・・というわけで鈴鹿では、ムリに何かの帽子を被らせるのはやめましょう、と。
STG:残念ながら(笑)。

◆ニコとセブの「2位争い」が残った!

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羽端:話が逸れたので(笑)レースに戻ると、今回はニコ(ロズベルク)がしっかり勝って・・・・。
STG:ただ、タイトルを決めたハミルトンの闘争心が若干薄れていたかも? いや表彰台のニコの笑顔で帳消しになりましたけど。

羽端:たしかに。
STG:タイヤ交換の指示が出たとき、ハミルトンは指示を1周無視した格好になった。本来の闘争心なら、あそこでピットインせずに、走り続けて、勝った可能性がなくもないかな、と。

羽端:なるほど。
STG:まぁ、そういう機微も含めての勝利は勝利ですけど。

羽端:ただ、いま頃勝たれてもなあ・・・・という感じはあって(笑)。どうせならもっと前に勝って、チャンピオン争いを盛り上げてほしかった、と。
STG:それかニコ・ロズベルグ、ということですかね。

羽端:仰る通り、ルイスのタイヤ交換とか、そういうのがあってニコが勝ったと言えなくもないし。
STG:ですね。

羽端:ただ、ベッテルがリタイヤしちゃったので、ドライバー・ポイントの「2位」にニコが浮上した。でも、どうなんでしょう? レーシング・ドライバーって「2位争い」に燃えるんでしょうか? 
STG:タイトルはなくなったとなれば、次は2位ですからね。状況に応じて最善を尽くす、というのがレーサーと思います。

羽端:今年のチャンピオン争いを単調にした、これはニコにも責任があると私は思ってます。(同じクルマなら)ルイスには勝てないってことばかりを、ずっと「見せて」来ましたからね。
STG:まぁ。

羽端:そうか、ベッテルにはモチベーションがあるかもしれない。フェラーリというマシンで、ドライバー・チャンピオンの「2位」になるんだ、と。メルセデスに独占はさせないんだ、と。
STG:まさしく。

羽端:そういうことなら、あとのグランプリも一生懸命見ます(笑)。
STG:それから、毎年のことながら、シーズンをいい気分で締めくくることは大切なので。その意味で、残り2戦は面白いと思います。

羽端:インテルラゴスって、「モナコ」と「モンツァ」の間でいうと、どっちに近いんでしょうか。・・・・あ、いや、もし”モナコ寄り”なら、マクラーレン・ホンダにとっては、今回よりも「闘いやすくなる」のかなと思って。

STG:圧倒的にモナコ寄りですね。

羽端:おー!
STG:ただ、ぬか喜びはあとで悲しいですから。与えられた条件の中でのいいレースに期待したいです。
【西湘-西八王子】

photo by MERCEDES/HONDA
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