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シーズン歓待特別企画 【浜島裕英、「2010年」を語る】 6/9

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◆”タイヤ・ブレーカー”的なクルマはアリなのか!?
—-「2010年どうなる!?」ということからは、ちょっと離れてしまうかもしれませんが、タイヤ・サプライヤーという立場からのコメントとして、たとえばAチームのクルマは「タイヤにきびしい」という評言があると思います。この「きびしい」というのは、レースでは”いけないクルマ”ということで、つまりは絶対悪なんですか?

浜島 いや、そんなことはないですよ。(レースをする)クルマの”正解”は「速ければいい!」と思うんですよね。

だから、(タイヤに)きびしくてもいいんですけど、ただ「タイヤにきびしい」と、スタート時というかタイヤの元気なときと、元気じゃなくなったとき──どうしても走るとタイヤを痛めるので、そうすると(タイヤにきびしいクルマは)あとが辛くなる。タイヤにきびしいというのはそういう意味で、絶対悪ではないと思います。

ほんとに(そのクルマが)速ければ、最初にタイヤ(の性能)をバーン!と使って、(他車を離して)あとは流して走れば、(タイヤに)「きびしいクルマ」でも、タイヤを大事に使えますからね。そういう意味では(タイヤにきびしくても、レースするということでは)悪くはない。

ただ、タイヤ・メーカーの立場としては、よくないというか、あまり”好き”ではないですよね(そういうクルマは)。タイヤ、ささくれちゃったりするから(笑)。

—-はあ、見た目もあるし?(笑)
浜島 フフフ……(微笑)

—-あの、一度お聞きしたかったんです。タイヤにすごくトラクションをかけて、いってみればタイヤをボロボロにしながらでも、ともかく他車より先に行くというようなクルマ?
浜島 はい。

—-レースの場合は必ず、ある走行距離を走ったら交換するわけで、それを見越しての、タイヤを”壊してる”けど速いんだ!……というようなクルマづくりというかコンセプトはアリなのか?

浜島 うん、アリですよね!(笑)

—-あ、そうなんですね!(笑)
浜島 去年(09年)のレッドブルみたいの、まさにそうですよね。
先行して、あそこ(レッドブル)のクルマはリヤタイヤに非常に「きびしい」から、ささくれたりしますよね。だけど、交換時期が来るところまでは頑張れる。そのくらいの「やさしさ」はある──ほかのクルマよりは悪いかもしれないけど。1スティント分は(タイヤを)ちゃんと使い切れる。

それはドライバーが(スキルによって)カバーしている部分があるけど、(タイヤについては)そうやって交換して「使い切る」というのは、レースとしては一番効率いいですよ。(クルマの)持てる性能を100%発揮したところで、タイヤ交換して、次のタイヤを使う。これはレースの「正解」ですから。

◆タイヤ側から見た「いいクルマ」とは?
—-逆に、タイヤはキレイに使えてます、だけど遅いですね!?……というクルマもあり得る?
浜島 あり得ます。でもそれって、タイヤに全然「入力」が入ってないってことですよね(笑)。

「いいクルマ」っていうのは、フロントとリヤのバランスを取りながらダウンフォースがかかるし、速度(ラップタイム)が遅くなっても、(タイヤの)前後比があまり変わらずに(コースを)回れてる。だから、リヤタイヤも痛まないし、フロントタイヤも痛まない。

もしくは、痛んでも、前も後ろも同じように痛むんで、ドライバーとしては、バランスがいいままで、タイヤを使い切れる。こういうのがやっぱり、一番いいクルマじゃないですかね。

—-前後均等に、というのが重要なんですね?
浜島 それがやっぱり……何ていうのかな、新品で付けたときの状態から、同じように、フロントもリヤもダメになってくというのが、たぶん、一番「いいクルマ」だと思います。

—-それでいうと、2009年で「いいクルマ」だったのは?
浜島 09年で、それがよかったクルマ……? うーん、ブロウンGPは(シーズンの)前半のサーキットはよかったですね。割りと、(サーキット・レイアウトとして)オーバーステアが強いサーキットでは、ブロウンGPはバランスが取れていた。

でも(シーズンの)後半になって、アンダーステアが強い、高速コーナーが多いサーキットへ行ったら、レッドブルの方がバランスは取れていた。もちろん(レッドブルは)空力パッケージも変えましたけど、そういうことがいえるかなと思います。

極論すると、そのサーキットが平均してどんな「R」のコーナーで構成されているかということを見た場合、その「R」が小さければ、ホイールベースが短いクルマの方が有利ということになりますが、それと同じで、サーキットによって、クルマの特性が活かされるサーキットとそうでないサーキットというのが、やっぱりある。そういう感じですよね。

【STINGER / text by Iemura Hiroaki】


シーズン歓待特別企画 【浜島裕英、「2010年」を語る】7/9に続く。

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