シーズン歓待特別企画 【浜島裕英、「2010年」を語る】 7/9
◆”タイヤ使い”が巧いドライバーは誰だ!?
—-先ほどのお話のように、レッドブルは、いわば”タイヤ・クラッシャー”だったけど、タイムは速かった。では、これを”一方の雄”とすると、もう一方の、タイヤに優等生であって、なおかつ速かったクルマというのは?
浜島 それは、ブロウンの初期。あれはよかったですね。
—-ほかは?
浜島 ほか!?
—-たとえばトヨタは?
浜島 トヨタ!? あ、バーレーンではよかったですよ、とくによかった、(トヨタは)ここでは。
シーズン後半でいうと……、うーん、どこかなあ? そうですね、シルバーストン(イギリスGP)以降のレッドブルは、前後のバランスが取れて(うまく)ささくれてた。あれは空力パッケージをだいぶ変えて──前半はリヤばっかりが痛んでたけど、でも後半は、前後のバランスがほんとによくなりました。
それと、(後半は)マクラーレンがよくなりましたね。BMWも、後半は速くなった!
—-あと、2010年は、レース中の燃料補給ができないことから重量とバランスが大きく変わるので、そのコントロールがドライバーに求められ、シューマッハはそれが巧いだろうということが間がかられますが、じゃ、シューマッハ以外では?
浜島 いま、あそこ(F1)にいる人たちで上手なのといったら、アロンソとクビサと、キミ(ライコネン)はいなくなっちゃったから……。そして、マイケルでしょ。あと、ハミルトン……。
—-ハミルトンは、2年前はタイヤの使い方は下手だったのでは?
浜島 いまでも”きびしい”ですけどね。フロントに全部の荷重を載っけて曲がるから、フロントタイヤに異常にきびしいドライバーではあるんですが、でも、ちゃんとコントロールはできる、(状況によって)乗り方も変えるしね。……というか、変えてると思われます。
—-バリチェロは?
浜島 ルーベンスは、後ろのタイヤのグリップがなくなったときには、急に根性なくなっちゃいますから。
バトンも、その傾向、あるんですよ。バトンは、曲がらなくても(クルマがアンダーステアだと)ダメだし、後ろがダメになっても(グリップが低下しても)ダメだし。だから(バトンは)「いいクルマ」で、速い!(笑)
—-ようやく、ワールド・チャンピオンの名前が出て来ましたが(笑)。
◆フェッテル、速さは突出! そして、育ちのよさも
浜島 アロンソ、クビサ、キミ、ハミルトン……もう一人いたな、(巧いのは)5人なんですよ。……あ、フェッテル! 忘れちゃいけない!(笑)。フェテル、(2010年のチャンピオン候補)筆頭でしょ? 速いですから、彼は、本当に!
—-ただ、フェッテルは、ダメなところから上がってきたレースというか、そういうのがあんまりないですよね? いいところにいれば強いですけど?
浜島 ああ、そうですね。……でも、ラップタイム分析すると、(2009年では)スパ・フランコルシャン、ブラジル、ここでは速かったですよ。ただ、昔のマイケルのような強さは、まだ見せていないというところはありますよね、ベッテルは。
—-「速さ」と「強さ」は違うということでいうと、強さという点では、まだフェッテルは──?
浜島 うーん、そうかもしれない。去年(09年)でいうと、とくに前半は「したたかさ」が必要でしたよね。オーストラリアでは、クビサと当たっちゃったでしょう。ハンガリーでも、早々にぶつかっちゃって。この二つ(のミス)がなかったら、けっこう(バトンの)チャンピオンシップは危なかったですよね。
—-まだまだ「狡く」ないんでしょうか?
浜島 あ、ベッテルくん? ええ、育ち、よすぎるから!(笑)”いい子”ですよ、ほんと。
(フェッテルと)初めてご飯を一緒に食べて、その次の週にサーキットで会ったとき、「こないだ、ご飯、ぼくおカネ払わなかったけど、払わなくていいの?」って訊いてきた。こんな(ことを言うレーシング)ドライバー、初めて!(笑)
—-へえ〜〜!?
浜島 信じられないでしょう!?
—-“いい子”なんですねえ!
浜島 ほんと、育ちいいですよ。こんなこというの、いないもん!(笑)
—-話は変わりますが、ステファンGPが、まあレースに出て来られるかどうかはわからないですけど?
浜島 ステファンGPは、いま(2月23日時点)の状況では出て来られないでしょ? US(GP)かカンポスがポシャった場合ですよね?
—-その可能性は高いようですけど?
浜島 そうですね、USとカンポスは(タイヤ・サプライヤーのBSに)何も言ってこないので。……何も言ってこないということは、あそこはタイヤが要らない。つまり(現時点で)クルマがないってことでしょ。
—-ステファンGPは、何か言ってくる?
浜島 ステファンGPも言ってこないけど、TMGの人が探りを入れてきています。