シーズン歓待特別企画 【浜島裕英、「2010年」を語る】 8/9
◆2010年のシューマッハを考える
—-もう一度「マイケル」に話を戻しますが、今年、浜島さんは、シューマッハはF1で活躍できると見ておられますよね?
浜島 そうですね。……というか、彼の打算と言っちゃいけないのかな、彼の考え方からすれば、(復帰して活躍が)できないんであったら、乗らなかったと思います。
ただ、2010年のレギュレーションでフロントタイヤが少し小さくなるんで、これはブロウンGP、今度のベンツですね、そのクルマの特性からいうと、有利ではない。あのクルマは、もともとちょっとアンダー(ステア)気味だったんで、フロントタイヤを小さくされると、ちょっと辛いかもしれないですね。
でもそこは、まあ(シューマッハは)腕でカバーするんじゃないかなと、これは個人的に期待しているかもしれない!?(笑)
—-キャリアが3年空白であるということについては?
浜島 3年といっても、実質は、去年はまったく乗ってないということ。その前の2年間は、フェラーリのテスト・ドライバーで。たとえば新しいタイヤを冬にテストするときなんかは(シューマッハは)乗ってるんですよね。そしてそこで、ちゃんとトップタイム出してるから。そのときは、何であいつ引退したんだ!?というくらいに、みんなビックリしているわけで(笑)。
そういう意味では、(ケガしていた)首が治って、GP2に乗って──。GP2のタイムは、同じ時期(季節)で比較すると、ほかよりも速い。
—-可夢偉のレコードタイムには及ばなかったけど?
浜島 ただ、可夢偉のそのタイムと(いまの)マイケル(シューマッハ)では、時期が違うんで。それと、可夢偉は”自分のクルマ”でのタイムでしょ。でもマイケルは、GP2アソシエーションのクルマで(つまり、レンタカー)。同じような条件で比較すると、GP2のトップ・ドライバーのタイムよりも、マイケルの方が速い。
ちょうどGP2のテストが終わったあとに電話したんですよ、マイケルに。そうしたら、いつものシーズンはじめと同じで、若干、筋肉痛はするけど、あとは問題ないって言ってましたから。そういう意味では、本人的にも自信あるんじゃないかなと思いますね。
—-多くの人が思ってるほどには、実は”空白”はなかった、と?
浜島 そう思いますね。去年に、首を痛めてまったく乗れなかったのは、本人としては誤算でしょうけど。さすがのマイケルも、首を痛めて何もしてなかったときは、ちょっとポッチャリ気味になりましたから。
◆身体のケアについての、異様なまでの高い関心
浜島 それでマッサがケガして、急遽乗ることになったら、ムリしてダイエットしたみたいで、ちょっと”白っぽかった”けど。でも、アブダビに来たときには、ちゃんと昔の(本来の)マイケルになってましたね。
—-でも、まだ首はちょっと細いかもしれない?
浜島 首の筋肉は、いくら(レーシングカーを走らせること以外で)鍛えても、ちょっとムリなんですよ。
マイケルは、シーズンはじめのときって、ずっとF1に乗ってたときでも、ヘルメットに300グラムくらい余計にウエイト付けるんです。
—-え!?
浜島 タイヤのウエイトを貰いに来るから、何するのかと思ったら、ヘルメットの両脇に付けてた。
—-レースのときですか?
浜島 いえ、冬のテストのとき。そうやって、強制トレーニング!
—-ははあ、余計な負荷を首にかけて?
浜島 そうです。首だけは、いろいろトレーニングやっても、クルマでかかる力については鍛えられないので。
—-そんなことをするのは、やっぱり彼だけ?
浜島 あれ(ヘルメット)にウエイト付けるっていうのを思いつくのは……(笑)。星野(一義)さんだって、いろんなこと(トレーニング)好きだけど、やらないですよね。
だから、(鍛えるということに対しての)熱意は異常なんだけど、でも(シューマッハは)しっかり食べますよ。しっかり食べて、鍛える。脂は食べないけどね。脂は、逐一取り分けます、彼は。(脂は)旨いのに? うん、よくあれガマンできるなっていうくらいに取る(排除する)(笑)。
—-肉は食べるんですね?
浜島 肉は食べます、すごく。だから、脂がついてる肉だと、炭火で焼けって(シューマッハは)いいますね。だから、彼はしゃぶしゃぶが好き。
脂に対しては、ほんとに神経質です。脂は、運動して落とすのが大変だから、気を遣うんでしょうね。