ホットライン2010 round10 イギリスGP 1/2
クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとスティンガー編集長が、イギリスGPの裏舞台をズバリ診断する。
◆可夢偉、二戦連続のポイント獲得、今回は6位だ!
羽端恭一(以下羽端)シルバーストンは、バレンシアにつづく、可夢偉の連続入賞でした!
STINGER編集長山口正己(以下[STG]) 本当に。月並みだけれど、スタートで9番手に上ったのを見て、思わず”凄い!”と叫びましたから(笑)。で、レース後に、スタートは狙っていた? と野暮な質問をしたら、「全然」(笑)。
羽端: 周りのコーフンに較べると、可夢偉自身は、あんまり盛り上がってないというか(笑)、けっこう淡々としていたのがおもしろい!
[STG]そうなんですよ。これまでも何度か彼に、ジョークで「カワイクないなぁ」と言ったことがあるけれど、本当にいつも冷静で、興奮することがない。
羽端: 今回のレースの場合、可夢偉は誰も抜いてないし、誰にも抜かれてない。だから、レーサーとしては、シルバーストンでレースした気分じゃないのかもしれないですね。
[STG]いや、そうではなくて、抜いたとしても、彼としては、”当然のことをしただけ”という感覚じゃないかと思います。
羽端: たぶん、当初の予定通りにタイヤ交換に入って、そのまま走っていたら、自分より上位にいたドライバーが続々とピットインして、自分の順位が上がった。そのうちにペースカーも入って・・・
[STG]ある意味”淡々と”自分の職務をこなしただけ。
羽端: だから、今回のレースについては、「あまり話すことはないんだ」と?(笑)
[STG]ですね。当然のことをしたまで、ということなら、そうでしょうね。
羽端: ただ、当人はアタリマエと思ってるかもしれないけど、ニュータイヤで出ていった最初のラップで、タイヤもあったまってないのに、すぐ後ろに来ていた”シュー先生”に抜かせなかったこと。あれは、すごかった!
[STG]ピットイン前後のラップを集中して仕上げるのは、M.シューマッハの得意種目だったはず。なのに、今回の可夢偉は、そのM.シューマッハを出し抜きましたからね。インラップもアウトラップも、どっちも可夢偉の方が速かった。
羽端: それと、「前」がいなくなったから上に行けたというけど、一方ではこれは、後ろから来るドライバーの誰からも突っつかれなかったということで・・・。
[STG]チームも、前がいなくなるところでピットアウトできるそういうタイミングを見計らってピットに入れてます。その辺りの駆け引きも、R.ブロウンとM.シューマッハの得意技だったけれど、今回は、ザウバーと可夢偉の勝ちでしたね。
羽端: なるほど! そして、ペースカーが退いたあとでも、後ろからの脅威に曝されることはなかった。
[STG]予選後に、最高速が22番手だったことを知って、かなりガックリして、「抜けないけど抜かれるのは簡単」、としょげてましたからね。なのにそうならなかった。レースセットが凄くうまくいった結果と思います。そして、それを慌てず騒がず完璧に、可夢偉もチームもこなした。
羽端: だから、これは”堂々たる6位”だと思います。何かに恵まれたとか、そういうのではなく・・・
[STG]ですね。もちろん、F.アロンソとR.クビツァがいなくなったというのはあった。でも、そういうときに”そこにいる”ことはとても重要です。ぬか喜びをしてちゃいますけど(笑)、このポジションを護っていれば、巡り合わせで表彰台さえ夢じゃない、みたいな。
羽端: まあ、バトルシーンがなかったんで、国際映像にあんまり映らなかったという面はあるんだけど。
[STG]それは残念でしたが、全体のタイムの流れなどを見ると、すでにタイヤの使い方などは、完全に掌握して、コントロールできている段階と思います。
羽端: でも、だからなおさら、え? 12位から出て6位なの? ・・・という感じがありますね。いつの間にスルスルと? ”ニンジャ可夢偉”!(笑)
[STG]ニンジャはいいね!!(笑)。今の可夢偉を凄くうまく言い当てている。まさにそういう感じかもしれないなぁ。
ホットライン2010 round10 イギリスGP 2/2に続く