ホットライン2011 round17 インドGP 3/3
◆レッドブルはなぜ速いか?
羽端:ハナシがちょっと古くなるんだけど(笑)、トヨタのF1カーね。あれ、”低速コース”でダメだったでしょう、とくにモナコとか。なぜかというと──いや、勝手なモーソーだけどさ(笑)、ウイングを付ける前の「ボディのみ/シャシーのみ」という状態での「接地性」、可夢偉語でいえば「グリップ」ね、それが低かったんだと思う。
STG:それが何か?
羽端:トヨタは基本的にはそういうボディだったんだけど、それを「エアロ」で補えるような”高速サーキット”と呼ばれるようなところでは、また路面がキレイなところ──作り替えた富士とかね、そういうコースでは、ウイングによってダウンフォースをつくれて、何とか勝負になった。モーソーその2だけど(笑)、今年のザウバー車って、これと似たようなところがあるんじゃないかな。
STG:最終段階のトヨタはかなりそうしたバランスがよくなってましたね。だからやめちゃったのは相当もったいない。懸けた予算がまさに水泡に帰したってことで。
羽端:レッドブルとかマクラーレンは、まず、「ボディで」十分にグリップしてる。それに加えて、とくにレッドブルは、”空力の鬼”のエイドリアン(・ニューウェイ)先生がいるから、エアロでさらに(路面に)ハリつける。ある
いは、さらにモーソー3でいうと(笑)、レッドブルあたりは、むしろハリつけすぎないように、ドラッグにならないようにと、それをエアロ(ウイング)で調整してるんじゃないかなあ?
STG:まぁ、概念的にはそういうことでしょうね。
羽端:コースによっては、わざとダウンフォースを減らすとか! だから、セブ(フェッテル)くんは速いんだよ!?(笑)
STG:そう。でも、多くの人が勘違いしているのは、セブがうまいと思っていること。もちろん、下手じゃワールドチャンピオンにはなれないけれど、いいクルマがあるから運転がスムーズになって、タイヤに負担をかけずに済む。だから速い、という好循環。もちろん、レッドブルのシートをゲットできていることは、彼の才能であり、現実ですけどね(笑)。
羽端:だから、「ボディですよ!」って、今度、ペーターさんに会ったら言っといてください(笑)。
STG:そんなもん、我々素人が分かること、ペーターさんはずっと前からわかってらっしゃる(笑)。問題は、そういうことであることを知っているかどうかではなくて、予算を含めて、できるかどうか、ってことです。ザウバーに、レッドブルのスポンサーがついて、ニューウェイが移籍したら、可夢偉は来年チャンピオンだ(笑)。
羽端:それにしても、フェッテル、強い! もう、後ろを見ながらのレースをしていて、バトンなどが「来たら離す」という、そんな余裕のレースをしているように見えるなあ!
STG:ですね。レッドブルRB7は相当安定しています。
羽端:残るあと二戦も、セブのポール・トゥ・フィニッシュで、この2011年は”セブ・イヤー”として暮れる! 今年はそれでいいんじゃないでしょうか。
STG:その可能性は高いですね。でも、以前マクラーレン・ホンダ時代に、監督だった後藤治さんが言ってたけど、勝ち続けると、それが日常になって、どこかで隙がでるものだって。とりあえずは大丈夫だろうけど、来年に向けては、どうなるかなぁ。
羽端:強くてつまらないと言うより、私は新しいスーパースターの誕生を喜びたいです。そして、そういうスーパースターを誰が倒すのかということが次のドラマになるから。
STG:同感です。栄枯盛衰。F1は開発のスピードだけじゃなくて、凋落のスピードも早いですからね。マクラーレンもフェラーリも、当然、手をこまねいてはいないし。だってフェラーリ、フニャフニャ・ウィングをトライして、すでに2012年のテストをあからさまに始めてます。テストの規制があるので、グランプリ・ウィークで走行テストを消化する。この辺りの準備の思想も、流石F1と思いますね。
羽端:で、浮上するのが可夢偉だったら、もちろん最高です!
STG:もちろん!
羽端:だから、ペーターさんに、ね!(笑)
STG:その前に、ペーターさんにスポンサーを見つけてあげてください!