ホットライン2011 round1 オーストラリアGP 3/3
◆新規格になったとしても?
羽端: あと、 KERS※とか、動かせるリヤウイングとか、いろいろ新規格があって──。
[STG] タイヤは6色あるし(笑)。いや、去年のブリヂストンと種類の数は同じですけど、イタリア・メーカーらしく、4種のドライタイヤと2種のウェットを色分けしてきた。
羽端: なるほど、それをみれば、どのタイヤかわかって展開が面白くなりますね。
で、規則の変更は、レースをもっとおもしろく見せましょう!というコンセプトでの導入で、たとえば、追い抜きシーンをもっと増やそうという意図なんでしょうけど。
[STG] しかし、そう簡単に意図通りにいかない(笑)。
羽端: そうなんですよね。そういう熱意に対して、冷たい言い方になっちゃうけど、そういう新しいウェポンって全車が付けていいわけで──。”武器”が平等にデリバリーされれば、もともとの体力があるヤツの方が、やっぱりケンカは強いので?
[STG] しかし、逆も言えます。新しいものがでれば、”チャンスは平等”といわれますけど、強いところは強い。ノウハウとデータがあって、それを効果的に実行するマネーもある(笑)。
羽端: つまり、格差の是正にはならない。ということは、これまでと同じ。たとえば追い抜きシーンが増えたりとか、そういうことはないのでは?
[STG] 追い越しのチャンスが増えたことだけは間違いないけれど、そう簡単にスパスパと抜くシーンを見られるわけではなきですね。
羽端: 現に、今回の優勝者はKERSを使ってなかったんでしょ。
[STG] という話ですね。しかし、使えばいいとも言えない。道具が複雑になる分、トラブルの可能性も増えるわけで、もしかすると、木曜日にドタバタしていたのは、その準備が追いついていなかったからかも。とすると、KERSを使い始めた時が分岐点になるかもしれない。
羽端: 車両規則を決めているFIA側のアイデアというか、彼らの努力は一応認めるけれど、狙ったように上手く”スペクタクル”を演出できるかどうかというのは疑問ですね。
[STG] しかし、いちがいに否定するのはどうかな、という感じです。努力はしている。けれど、人生なかなか筋書き通りにはいかない、みたいな(笑)。
羽端: なんかねえ、いろんな”付加装置”って、単にドライバーの負担を増やしてるだけという気がして──。
[STG] それはいえますね。昔の例えば、マンセルの超越したドライビング能力があっても、今のクルマを速く走らせられるかどうか。その点、可夢偉は、そういう部分も得意種ですから。
羽端: トレーニングで心拍数を上げながら、テトリスの最高スピードができるという(笑)。その意味でも、今年のF1は面白そう!! テクノロジー・バトルという部分は、やっぱり、それなりにあってほしいですからね。
[STG] 今回の開幕戦で特筆すべきは、これだけ新しくなった新シーズンの開幕戦なのに、大きなメカニカル・トラブルがほぼ出なかった。これは、現代F1のテクノロジー・レベルを語る上で、ちょっとしたエポックと思います。
羽端: そういえば、トラブルでクルマが止まるということはなかった。これは評価したいですね。スペクタクルは、走りつづけることで生まれるはずなので。