ホットライン2011 round2 マレーシアGP 1/2
クルマ好きのエディター・羽端恭一さんとSTINGER編集長が、マレーシアGPの裏舞台をズバリ診断する。
◆マレーシアは、カムイについてだけ喋りましょう!
羽端恭一(以下、羽端 )今回は、小林可夢偉の特集というか、”カムイ”について喋りまくり、というのはどうですか?(笑)
[STINGER]編集長山口正己(以下[STG])いいですね!!
羽端: いや、いろいろと感心するというか、それ以上に、感銘を受けてるという方がいいかな?
[STG]とにかく度胸が座っている。相手が誰でも、全然お構いなし、というか(笑)。
羽端: まずは、フリー走行から予選だけど、クルマがそんなによくないんだ、という意味のことを盛んにコメントしますよね?
[STG]ですね。我々は、どうせレッドブルには追いつかない、というまぁ、分かったような解釈をしているけれど、可夢偉だけでなくチームには、”参加してるんじゃなくて戦っているのだ。勝つためにレースやってんだ!”という気概というか、モードがあるんじゃないかな、と。これは多分、他のチームも同じということに気づきました。
羽端: そうだと思います。何に較べてよくないのか、というときの”目線”がね、何というか、遠いのよね!(笑)
[STG]いや、レッドブルと較べてもね、そんなことは予算規模やチームの体制から無理なことはわかっていても、少なくとも”現状”に満足しないで上を目指している、というのがレーシング・チームたる所以と思います。
関係者に、「レッドブル」は別クラスとして、と言いかけたら、ちょっとムッとされましたからね(笑)。考えれば確かに。8位になるためにレースやってるんじゃないと言われりゃ、その通りだ(笑)。
羽端: やっぱりね! 可夢偉が何でまたクルマへの不満を語るのかと考えると、それは彼ががもっと「上」を見てるからでしょ。
[STG]ですね!! それと、そうしたことを、ある種、マスコミを通じてチームに訴える、というのが優れたドライバーやライダーのやり方です。2輪の原田哲也さんが、世界GPの会見のばなのに日本語でヤマハの悪口をボロカスに言っていたのを見て、”はは〜ん”と思ったことがあります。もちろん可夢偉は、英語のインタビューも答えているわけで、絶対に「これで十分です」なんて言わない(笑)。
羽端: 今年は、”トップ・ツー”があって、これで4台。”セカンド”としてフェラーリとルノーと、まあメルセデスもいて、”5番目”からのランク付けを競ってると思う。でも、今回の「可夢偉/ザウバー」って、えーと、予選が?
[STG]10位でしたね。Q1は、まぁ、上の方は固いタイヤで走ったりしてはいるけれど、なかなか見せてくれた。
羽端: ・・・という感じで、そのセカンド集団に、なぜか一台のザウバーが紛れ込んでる。これってむしろ、”プチ・ジマン”(笑)くらいしてもいいことだと思うんだけど。
[STG]同感ですね(笑)。自慢しまくりたい。ミハエル・シューマッハを抜いたとき、プレスルームの隣に座っていたポルトガル人にハイタッチを求められましたから(笑)。
羽端: でも、可夢偉はおそらく”見ているもの”が違うんでしょう。だから、ある種の”怒り”というか、苛立ちも含めて、ウチのはクルマができてないんだ!という発言になるのだと思う。
[STG]ですです。
羽端: このスケールの壮大さは、凄いなと。
[STG]日本の尺度か、世界の尺度か、みたいなことだと思います。話は変わるけれど、震災の義援についてのインタビューを、海外メディアから受けた時に、即座に、「日本を心配してもらって大変感謝しているけれと、ニュージーランドも辛い状況であることを考えると、非常に複雑だ」というのを聞いて、島国感覚の自分が恥ずかしかったでね。
羽端: お〜、カムイがそんなことを!
[STG]そういう感覚から、こんなもんでいいや、という心境にはならない、ってことだと思います。
羽端: だから、たとえばエンジンが同じなら、何で、少なくともフェラーリと同等の速さのクルマをつくれないんだ? このくらいのことを考えているのでは?
[STG]いや、もっと上かも(笑)。
羽端: ハハ(笑)そうでした! ・・・ということで、いま、ゴルフではマスターズの季節だけど、これでいえば、オーガスタに出場しただけでは、あるいは予選通っただけでは、何の喜びにもならないんだ! まあ、ちょっと違うかもしれないけど(笑)、こういう姿勢に近いものがあるとも思います。
[STG]そうそう。可夢偉は、第三世代というか、日本人としてはまったく新しい領域のドライバーと思います。マジで、フェラーリに乗ってほしいです。
羽端: それについては、私はヒソカに、もっと大きな夢を見ています。既存の大きなチームにピックアップされるよりも、ザウバーとカムイが手を組んで頂点へ駆け上ってほしい。セブ(フェッテルの愛称)が”新興”レッドブルとともにジャンプアップしたようにね。スイスと日本という組み合わせも、何となくだけど(笑)いい感じだし。
[STG]それもいいかも!!
羽端: だからNECさん、もっとザウバーにペイを!(笑)
[STG]ハハハ!! 私にも!!
ホットライン2011 round2 マレーシアGP 2/2に続く。