ホットライン2011 round9 イギリスGP 2/2
◆雨の金曜日、そして、インターミディエイトで始まった決勝
羽端:さて、レースですけど、シルバーストンは金曜日が雨で?
STG:ええ、ドライタイヤのロングランは、どこもできなかった。さらには、そこに持ってきて、雨でしょ? ピレリがまったくテストをしていないシルバーストンというオマケもつく(笑)。しかし、逆に言うと、エンジニアリングと経験でツメていけば例えばザウバーにも勝機があったわけです。
羽端:そうですね。全チームがテストなし、全チームが”読めない”なら、そういうときこそ、可夢偉にチャンスがある!
STG:のはずだったのになぁ。
羽端:当日のグリーンフラッグ直前にしても、どのタイヤが正解なのか、誰にもわからないような状況で。
STG:濡れてるところと乾いてるところが半々というか(笑)、ドライバーは大変だったと思います。オレだったら絶対にどこかで飛び出した。
羽端:その心配は要らないずすね。
STG:え?
羽端:乗れないから(笑)。
STG:ぎゃふん。
羽端:ところで、そんなときに、レース序盤、いち早くドライタイヤにしたシュー先生の勝負根性には敬意を表すけど、でも、この人はランボーだからな!(笑)
STG:今回は、特にランボーという言葉がピッタリ(笑)。小林可夢偉に追突した時、完全にコントロールを失って、カウンターステアを当てながらぶつかっている。多分、DRS(可変リヤウィング)の効き目を見誤って、ブレーキングが遅れたんだと思います。完全なミスですね。
羽端:おお、なるほど。アメリカのオーバルレースは、ドライバー同士の深いリスペクトともにレースが行なわれているって、佐藤琢磨が語ってたけど、そういう意味では、シューマッハはアメリカではレースはできないんじゃないか。俺はそんなところでレースはしねえよ!と、シュー先生はおっしゃるでしょうが(笑)。
STG:琢磨のスポッターとして活躍中のロジャー安川の名言があります。オーバルでは”空気を分け合う”んだそうです。
羽端:うんうん、それ、いいハナシですよね。
STG:でも、それはアメリカのレースだけじゃなくて、相手をリスペクトしなければならないのはレースの基本ですね。しかし、琢磨の口からそういう言葉が出るというものには、ちょっ驚きというか(笑)。シューマッハ先生も、アメリカに行ったら考え方が変わるかも(笑)。
羽端:オーバルってのは、そういうことを考えることになるような、ヨーロッパのサーキットとは違う”密閉空間”なんだと思います。でも、アロンソには、おめでとうと言いたいですね。クルマもようやく、排気利用の問題はべつにして(笑)、レッドブルに追いついて来たようだし。今回はさすがのドライビング、そしてフェラーリ、さすがのピットワークだと思いました。
STG:見事でした。
羽端:結局、フェラーリとレッドブルの”あのピット作業”のタイム差がレースを決めた。
STG:ですね。ところで、レースを控えて、60年前のイギリスGPでフェラーリがF1GP初勝利を上げた375をアロンソが大ドリフトで走らせたんですが、このマシン、バーニー・エクレストンのコレクションだった。なんか、できすぎ(笑)。
羽端:でも、勝者はたしかにアロンソ/フェラーリでしたけど、2位と3位はレッドブル。とくに、セブ(フェッテルの愛称)がちゃんと2位にいるというのがリッパだなと思いました。うん、年間チャンピオンは、やっぱり──(笑)
STG:アロンソもそれを認めてます。優勝して25点取っても、フェッテルが2位だと18点獲得できるから7点しか差がつかない。しかし、アロンソは、「でも諦めずに、残りのレースを全部勝つつもりで走るよ」と。このプラス思考が勇気を与えてくれますね(笑)。