2014WEC第3戦ルマン24時間—-アウディ、王者の貫祿!!
磐石の3台体制。王者はルマンをよく知っていた。
82回を迎えたルマン24時間レースは、アウディが王者の貫祿を示すレースだった。アウディ1-2フィニッシュ、ルマン5連覇の13勝目だった。
勝ったのは、A.ロッテラー/B. トルルイエ/M.ファスラーの2号車。アウディは、ライバルのトヨタとポルシェが2台体制だったの対して、唯一の3台体制でルマンに挑んで勝利をつかみ取った。
今年は、車両規則が大きく変更になり、結果として、久々にトラブルサムなルマンになったが、アウディは3台をそろることでバックアップを用意し、その展開を予測していたとも考えられ、まさに王者は磐石だった。
しかし、レース序盤から中盤にかけて、レースの主導権を握っていたのは、中嶋一貴が日本人初のポールポジションを奪ったゼッケン7のトヨタTS040 HYBRIDだった。僚友のゼッケン8が、序盤にサルテ・サーキットを襲った集中豪雨の際に激しくクラッシュ、大きく交代したの対して、トラブルフリーで安定した速いペースでリードを築いていた。
ところが、折り返しを過ぎ、中嶋一貴が二度目のステアリングを握っている時に、突然、コース上でストップ。ハイブリッド系のシャットダウンで、無線も通じないメインの電源が落ちた状態に陥ったためだった。テスト中にはなかったトラブルに、TS040 HYBRIDのパワープラントを統括する開発責任者の村田部長も大きく肩を落とした。
また、16年ぶりに総合優勝争いに復活したポルシェは、アウディのV6ディーゼル、トヨタのV8ガソリンとは違う、V4エンジンという新たなチャレンジでルマンに臨み、昨年までレッドブルでF1グランプリを闘っていたマーク・ウェバーも陣容に加えて万全を期して2台のポルシェ919Hybridを送り込んだ。
トヨタTS040 HYBRIDの7号車がリタイアした後、トップを走っていた1アウディR18 e-toron quattroにトラブルが発生、コンピュータの再起動のような処理で甦ったものの、その隙にポルシェ919Hybridがトップに立った。
しかし、レース終盤、アウディR18 e-toron quattroとのバトルを勝ち抜くために、作戦を変更して急きょマーク・ウェバーがステアリングを握ったが、ペースが上らず、ピットでリタイアを喫することになった。
2位は、スケジュール初日に、ロイック・デュバルが宙を舞うクラッシュでほぼ全損状態になったマシンを修復した1アウディR18 e-toron quattro、3位に、序盤にクラッシュしてノーズ部分を大きく破損したものの、ピットに戻って修復した8トヨタTS040 HYBRID。久々に耐久レースらしく、波瀾に飛んだ見所の多いレースだった。
優勝のトリオは、昨本に続くルマン連続制覇。アンドレ・ロッテラーとブノワ・トルルイエ、ファスラーはルマン24時間三度目の勝利だった。
LMP-2クラスでは、最後までバトルが続き、ニッサン・エンジンを搭載車が上位を独占、イオタ・スポーツが激戦を勝ち抜いた。
GT-Proクラスは、シボレー・コルベット、フェラーリ458イタリア、ボルシェGT3、アストンマーチンが激しいバトルを展開。フェラーリが勝利をもぎ取った。
予選で、”モーターだけで初のオーバー300km/h”を実現させた本山哲のニッサンZEODは、スタート直後に駆動力を失って残念なリタイア。LMP-2に唯一の女性ドライバーとして参戦した井原慶子は、念願のルマン初完走。アストンマーチンが勝ったGT-Amaの助っ人ドライバーとしてチーム・タイサンのフェラーリ458イタリアを走らせた中野信治も完走した。
第82回ルマン24時間レーストップ10
1. アウディR18 e-toron quattro
2. アウディR18 e-toron quattro
3. トヨタTS040 HYBRID
4. レベリオンR-0NEトヨタ
5. ザイテック・Z11SNニッサン
6. リジェJS P2 ニッサン
7. アルピーヌA450B ニッサン
8. オレカ03Rニッサン
9. リジェ・ニッサン
10. モーガン・JUDD