長谷川さんのコメントを聞きたい–カウントダウン企画 2018F1GP開幕まであと97日
97(98からつづく)
2015年と2016年を担当した長谷川祐介F1プロジェクト総責任者は、モーターレーシングを深く理解していることと真摯な受け答えで人望が篤い人物だった。いや、過去形はよろしくない。生産車の開発に戻られても、その誰からも愛される信頼の人柄は変わらないだろう。
長谷川F1プロジェクト総責任者に代わって現場を統率する田辺豊治テクニカルディレクターも素晴らしい好人物でF1の現場責任者として長谷川さん以上の適役だが、長谷川さんを印象付けたのは、最後の舞台となる鈴鹿サーキットの日本GPの会場でのコメント。思わずハッとさせられた。
恨みつらみがあってもよさそうなマクラーレンに対して、「感謝しかありません」と一言。F1を闘う仲間としてマクラーレンとホンダの信頼感が確固たるものであることとと、開発人として闘ってきた相手に対するリスペクトを感じさせる感動の一言だった。
長谷川さんの2年間のまとめをお伺いしたくて広報部にお願いしたが、いまのところ受け付けていただいていない。
成績不振の理由は、いくつかあるはずだ。それを言い訳がましくほじくり返そうとは思わない。話の流れとして、以下のようなことを確認しておきたい。
◆2017シーズンに向けて、抜本的な見直しを図ってパワーユニットの設計を代変更した。
◆当然、目標設定は高く掲げた。
◆高い目標だったことで、シーズン序盤は苦戦した。
◆シーズンが進むごとに開発が進み、夏ころからせいかが出始めた。
◆まだまだポテンシャルは充分ではないけれど、田辺さんに引き継ぎいでいい方向に向ってほしい。
このストーリーは多分正しいと思うけれど、勝手に書くわけにはいかない。長谷川F1プロジェクト総責任者の言葉があれば、ここまでの3年間、遠回りだけれど無駄ではなかったことが理解でき、2018年以降に希望がもてる。
長谷川F1プロジェクト総責任者を切り捨てて、田辺豊治テルニカルディレクターに押しつけるのではなく、ホンダとして筋道を通して闘っていく、という毅然とした姿勢を確認したいと思う。それがあって田辺TDも力を発揮できるはずだ。
伊東孝紳前社長が研究所を突然訪れて、「F1をやる。予算はないがよろしく」と、言葉は違うかもしれないけれどそんなコメントからスタートした今回のホンダF1計画が、正しい方向で邁進できるように、けじめはきちんとつけてほしいと思う。
(96につづく)
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