ガスリーが頼もしい–カウントダウン企画 2018F1GP開幕まであと70日
(71日からつづく)
新シーズンに向けてハートチューニング!!
トロロッソ・ホンダのドライバーとしてF1フル参戦のデビューイヤーを迎えたピエール・ガスリーを追う番組がJ-SORTSで放映された。ガスリーを取り巻く、エンジニア、メンタルトレーナーなど、関係者の声を入れながら、ガスリーの素晴らしさを伝えた。素晴らしくよくできた番組で、ピエール・ガスリーというフランスの21歳の素晴しいレーシングドライバーとしての素養と人物像が浮かび上がった。
21歳のガスリーは、2017年にスーパーフォーミュラに挑戦した。序盤に苦戦したのは、チームとのコミュニケーションがうまくいっていないことが原因と突き止め、そこで腐らず、エンジニアに素直にそれを伝え、解決策を提案した。エンジニアや周囲もそれを受け、改善して臨んだ後半戦で2勝を記録した。
それを観て、ゴルフクラブのキャロウェイの副社長のインタビューで聞いた“全盛期のタイガー・ウッズの強さの秘訣”を思い出した。
「誰でもボギー(規定より1打多いミス)を叩く。たいていの場合、そこで腐ってその後スコアを崩すケースが多いけれど、タイガーは瞬時にそれを過去のことと消し去って、次のホールで立ち直ってバーディを取る。ショットの上手さではなく、それがタイガーの強さの秘訣です」
遠い極東の島国にやってきて職人たちに翻弄された前半戦のていたらく。そこで腐らず、「いまやるべきこと」を的確に判断して前進する。思えば、レーシングドライバーの最も大切な素養は、あきらめずに前進することだった。
そして、自分一人ではなくチーム全体を正しい方向に導こうとした思考回路は、ミハエル・シューマッハにも通じる。F1フルシーズンのデビューを迎えるピエール・ガスリーは、トロロッソ・ホンダのドライバーだからというだけでなく、本質的なポテンシャルを見せてほしいという意味で、改めて応援したくなった。
(69日につづく)
[STINGER]山口正己
写真素材 by SCUDERIA Toro Rosso /Red Bull Content Pool