オールドコースとティルケ型–カウントダウン企画 2018F1GP開幕まであと47日
新シーズンに向けて鼓動が高まる!!
(48日からつづく)
鈴鹿サーキットは、スパ-フランコルシャンと並んで最もチャレンジングなコースと言われる。その理由は、コースレイアウトが人工的ではなく、自然の地形を活かしていることもあるが、もう一つ、セーフティ・ゾーンが狭いことも挙げられる。要はスペクタクルということだ。
モナコGPが古くからガードレールが近くてリスキーと言われることが多いが、実は、モナコは確かにガードレールはコースを囲んでいて、セーフティ・マージンはゼロといってもいいが、絶対スピードが低い。
もちろん、トンネル出口では300km/h近い尋常ではないスピードが出ているけれど、他の部分のスピードの怖さは、案外高くないとドライバーは言う。
それに対して、鈴鹿やスパは、絶対速度が高く、さらにセーフティ・ゾーンがそれほど広くない箇所がいくつもある。たとえば鈴鹿でいえば、S字区間やデグナー・コーナーの出口は、はみ出したらほぼ間違いなくガードレールの餌食になる。
スパの名物コーナーのオールージュも、コントロールを誤ってコースオフしたら、間違いなくガードレールに張りつくことになる。
それらの味のある“オールドコース”に対して、“ティルケ形”と言われるのが、ここ10年ほどで完成したコースだ。
去年一杯でグランプリから消滅してしまったマレーシアGPのセパン、中国GPの上海、バーレーンGPのザヒールなど、コース設計者のヘルマン・ティルケが、現代の安全基準に照らして作り上げ、安全性は高いものの、どこか味気ないのは、自然を活かしたのではなく、型に嵌まったレイアウトだからだ。オールドコースは、単に歴史があるだけでなく、スペクタクルという意味でも、魅力を秘めている。
オーストリアGPのレッドブル・リンクや、今年復活するフランスGPのポールリカール・サーキットも、オールドコースに入れていいだろう。
いまさらだけれど今年は21戦、それぞれ趣の違うコースで展開される。
(47日につづく)
[STINGER]山口正己
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