4基から3基、さらに厳しくなるPU規制!!–カウントダウン企画 2018F1GP開幕まであと36日
新シーズンに向けて鼓動が高まる!!
(37日からつづく)
2018年に向けて、F1の車両規定はいろいろ変化する。最も分かりやすいのはドライバー保護のために装着が義務づけられるHALOだが、パワーユニットの年間使用規制が、4基から3基になったことは、エンジンを供給するメーカーにとって厳しい条件になる。
1年前、2016年から2017年に向けて5基が4基になったとき、長谷川祐介F1プロジェクト総責任者は、「5基から4基になると、(厳しさは)2割増になります。これは大きい」とコメントしたが、今年は4基が3基になる。単純計算で、2割5部増しということだが、さらに、今年から現場を預かる田辺豊治テクニカルディレクターは、「20戦が21戦になる分、厳しくなります」と冷静にエンジニアらしいデータ検証をした。
なるほど。3回のフリー走行と予選、そして決勝の305kmまでを合計すると、1GP当たりざっと1000km走行するとして、21戦で2万1000km。それを3基で賄うとすると、1基700kmをカバーする必要がある。2017年は、20000kmを4基だったので、1基当たり500km、ざっと4割増しが要求される計算になり、厳しさが伺える。
いずれにしても、相当厳しい数字になるが、思い出すのは、第二期ホンダF1時代のターボ規制だ。
当時、ホンダが猛威をふるっていたことで、過給圧がどんどん引き下げられた。ホンダの優位性を消滅させ、均衡を保つためのFIAの策略だったが、そこで悩んだホンダF1チームの桜井淑敏総監督は、本田宗一郎会長に、この件を伝えた。宗一郎は、こう質問してきたという。
「その規制はうちだけにかけられるのか?」。規則だから当然そんなことはない。
桜井総監督は、「いやいやそんなことはありません」と笑って答えたら、宗一郎は、「それじゃ、チャンスじゃないか」と言ったという。逆境をチャンスと考える思考回路。それがホンダの考え方だった。
その時と同じく、4基から3基に厳しくなった規制の中で、ホンダがホンダらしい闘い振りを見せてくれることを期待しておきたい。
[STINGER]山口正己
photo by HONDA